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「メア、あなたもよ。人が嫌がることをしたら駄目でしょ」
「はぁい……」
マネージャーに指摘され、メアは気まずそうに目をそらす。
しかし、睨むような視線を向けられると、ヒナに向かって頭を下げた。
「ヒナ、ごめん。あたし、ヒナの名前、可愛いと思う。でも、嫌なら本名で呼ばないから」
「私も大人気無かった。ごめんね」
――過ちを認められる推したち、尊い!
心の中で号泣しながら、わたしは二人の仲直りを観ていた。
顔に出さないのは社会人オタクとしてのマナーだと思う。
推したちの意外な一面を見れて、さっきの嫌な記憶もどこかに吹き飛んでいった。
「ミコのファンが迷惑をかけたというのはあなたね」
マネージャーさんの一言で現実に戻される。
ミコから先程あったことを聞いて駆けつけてくれたらしい。
「えっと……」
なんて答えるか迷ってしまう。
男から声をかけられたことは迷惑だったけど、ミコに助けてもらったし。
「悪質なファンは出禁にしているの。今後はこのようなことがないように努めます。だから、この子達を嫌いにならないでほしいわ」
「もちろんです。わたし、ジュエボは箱推しなので!」
マネージャーさんからのお願いに、熱い想いを返してしまった。
相手は目を瞬いている。ドン引きされてないものの、呆れられているのかも。
「あはっ、お姉さん、面白いね」
メアがげらげらと笑う。
何が面白いのか、わたしにはわからない。
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