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あまりの衝撃にトリップしていると、ミコは心配そうな顔で覗き込んできた。
――顔がいい!
思わず漏れそうになった奇声を抑えるため、慌てて口を手で覆う。
「本当に大丈夫? もう少し休んでいく?」
気分が悪いと誤解されたようなので、首を振って否定する。
悶えてるだけなんです、とは言えなかった。
「あの、本当に大丈夫なので、戻ってください」
萌え死にしそうになるので、と心のなかで呟く。
しかし、ミコはその場から動かない。
「……わかりました、駅までお願いします」
仕方なく顔を上げてわたしが答えると満面の笑みを浮かべ、頷くミコ。
「ちょっとだけ、待っててくれますか? この服だと目立つから着替えないと。もし、変な男が絡んできたらトイレに逃げ込んでください」
イベント衣装のままだったのを思い出したミコが言うので、わたしは大きく頷いた。
ミコの私服なんてなかなかお目にかかれない。
他のメンバーはプライベートショットを公開しているけれど、ミコは今まで一度も私服姿を披露していない。
(私服、どんなのだろう。カジュアルも似合うだろうけど、フェミニンな感じも良いよね。可愛い系よりは綺麗系なイメージだけど……)
妄想ばかり膨らむ。
自分のファッションにあまり興味のないオタクではあるけれど、推しのファッションはチェックしたい。
何より、似合うものを着てほしい。
「お姉さん、お待たせ」
妄想爆発していたところで、後ろからミコの声。
期待を膨らませて振り向くとそこには……。
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