脇役キャラの私は多くを求めないが、刺激が欲しい

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私の名前はキャサリン・ヒル、高校2年生。普通の女の子に見えるけど、実は私ヴァンパイアなの!なーんて、言ってみたいセリフ・・・。 私は本当に普通の女の子、まぁこんなセリフ言いたいなんて、普通よりかは漫画やSFが大好きなオタク系かもだけど(笑) とにかく私の人生は本当に平凡。毎朝起きて、学校行って、学校が終われば友達と寄り道か、真っ直ぐ家に帰ってバイトに行く。 なんかドラマみたいな、素敵な出会い…ううん、出会い何て大層なものは望まないから、素敵なハプニングでも起きてくれないかなって毎日思ってる。 でもそんな事起きるわけないのよね、私が住むこの町は本当に平和なの。ニュースになるような事件何て私が生まれる前から起きてないし、交通事故もたまに観光客がやらかす感じで、町民は皆安全運転だし、揉め事なんてしないのよね。だから映画やドラマ、漫画にどうしても刺激を求めてしまう。 今日も「何か変化が起きてくれますように!」ってお願いしながら、バイト先に向かっているところ。 そしたら何と!私の願いが少し叶ったの!!何と何と!新しいバイト君が入ってきたの!彼の名前はディラン・エバンス。隣町からの転校生で、同い年、もちろん同じ高校! 私の人生にこんなドラマ的な展開が訪れるなんて、嘘みたい!大げさじゃないかって?ほんっとうにこの町は言葉で表せないほど、ヘイヘイボンボンなのよ。 「あぁ、彼なかなかのイケメンだし、ここから私とロマンス的展開になったりしないかぁ?」なんて、淡い期待を抱いていると、出ました!出ました!学校のクイーン!イザベル・ジョーンズ!早速イケメン転校生に目を付けて、声かけてるー!彼も美人なクイーンから声をかけられて、まんざらでもなさそう…。うぅ、結局誰でも美人が良いわよね。はぁ、私の期待何て瞬殺だったわ。 どうやら、彼ディランは、イザベルとデートすることにしたそう。噂だけど、イザベルとデートして落ちなかった男はいないと言われているから、まぁ彼もすぐに付き合う事になるんでしょうね。 はぁ、やっぱり私は主人公じゃない、脇役なんだ。きっと一生何の変化もなく年だけ取って、死ぬ運命なのね…。バイト帰りに珍しく悲観的になっていると、公園にディランとイザベルの姿が!「あっ!そうか、デートって今夜だった!うわーん、見たくないもの見ちゃった!気づかれる前に、さっさと帰ろう!」と思ったんだけど、なんかイザベルの様子がおかしい…ディランもなんか体勢がおかしいような…。木に隠れながら距離をじりじり詰めて行くと、なんと、ディランがイザベルの事食べてる!?「ヒッ!」いけない怖すぎて声が! 「誰だ!?」一瞬で私の目の前に口が血まみれのディランが!! 「ん?君は同じバイトの…。」そうだよね、私はあなたの名前や出身地知っているけど、あなたは私の名前すら分からないよねってちょっと現実にがっかりした…ってそんな場合じゃない!! 「あ、あなた…イザベルを食べたの?なんでこんな事するの?」 「違うよ!食べるなんて、野蛮な事しないよ!」慌てて否定してるけど、口の周りは血でべっとり…。その姿にぞっとしちゃう。 「驚かないで聞いてくれ。実は僕はヴァンパイアなんだ!たまに美女の生き血がどうしても必要な時があって、仕方なく飲ませてもらったんだ。」 「え!?ヴァ、ヴァンパイアですって!!」噓でしょ!私が憧れていたセリフをこうも容易く、しかもリアルに言える人がいるなんて、なんか悔しい!あっ、違った! 「ちょ、ちょっと、そんなこと言われても信じられないわよ。証拠は?」 「この牙かな?」と言っておもむろに口を開く彼。 マジ!?本当に牙が出てきてる!!やばいわ!これは本当のヴァンパイアだわ!「わ、分かったわ。あなたがヴァンパイアだと言うことは、理解したけど、イザベルはどうなるの?彼女は無事なの?」 「大丈夫、ヴァンパイアの得意技で血を飲まれた記憶は催眠術で忘れさせられるから。彼女が覚えているのは、僕との楽しいデートだけだよ。本や映画で言われているほど、ヴァンパイアは悪ではないよ!だから、見逃して欲しい。僕も平和にこの町で生きたいだけなんだ。」 うーん。イケメンが懇願すると何か妙に説得されちゃう。 「分かったわ、私は何も見なかったことにするから、条件が一つ!私にはその催眠術絶対に使わないでね!そして、私にヴァンパイアの生態を教える事!」 「2つになってるけど?」 「もう!細かい事気にしない!」 「あはは、分かったよ、了解!じゃあ、取引成立だね。」 彼は私の手を取り、手首の裏にそっと唇を当てた、するとじわっとキスされたところが熱くなり、文字が薄っすら見えて消えた。 「これで君の身の安全は保障された。」 「え?どういうこと?君の手首にマーキングさせてもらった。これは人間には見えないけど、僕らの目には常に見えるんだ。だから、君が他のヴァンパイアから狙われることはない。」 「え?まだこの町にヴァンパイアがいるってこと?」何だか怖さと嬉しさで興奮しちゃった! こうして、私は退屈な日常から脱却し、ヴァンパイアが住む町の住人として、スリリングな毎日を手に入れることが出来た。
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