29人が本棚に入れています
本棚に追加
8月20日。
私達、電話交換手たちは、震えながら仕事をしていました。
港の方から、大砲の音が聞こえます。
班長は、私達に言いました。
「いよいよ、ソ連兵が真岡に来るかもしれません。皆さんたちに護身用として、これを渡しておきます」
私達には小さな包みが、一人一包ずつ配られました。
その時、隣の建物から、ものすごい爆発の音が聞こえてきました。
電話交換室の隣には、郵便業務を行う建物があります。
そこに、ソ連軍の大砲の弾が命中したのでしょう。
私、死ぬのかな?
そう思いました。
私は恐怖のあまり、動けなくなりました。
大砲の音は、やみません。
あちらこちらから、ものすごい爆音が聞こえてきます。
班長は、そんな爆音にひるむことなく、淡々と電話交換業務を行っていました。
そうか……私は電話交換手だった……
「はい、交換です。何番ですか?」
私も仕事に戻ります。
最初のコメントを投稿しよう!