海野ファンクラブ

「真柚(まゆ)。その人、海野先輩だよ」
中学からの友達の報子(ほうこ)ちゃんに話すと、先輩のことを知っていた。
「格好よくて、優しくて、困っている人に声をかけて人助けをしている心の広い、高校で人気の先輩。高スペック過ぎるよね」
まだ話を続けようしたがタイミングよくチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきたのを見た報子ちゃんは急いで自分の席へ戻っていった。
「海野先輩…かぁ」
さっきはお礼を言えなかったから、今度会ったら言わないと。
海野先輩と出会えたのは、私が迷子になって偶然が重なったからだと思う。