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海野先輩は視線を本に戻し、読書を再開している。
本を読んでいる海野先輩の姿は格好よくて、美しいから絵になる。
ページをめくる長い指を、つい目で追ってしまう。
「明瀬さん」
小声で呼びかけられ、指から上へ視線を変えると、海野先輩と目が合った。
恥ずかしくて目をそらす。
「明瀬さんは本を読まないのかい?」
「あっ…えーと…海野先輩は何を読んでいたのですか?」
緊張して、質問を質問で返してしまった。
「俺はSF小説を読んでたよ。考察しながら読むのが好きなんだ。明瀬さんは何の本を持ってきたの?」
「え、えーと…」
持ってきた本を思わず隠す。
恋愛小説…なんて恥ずかしくて言えない。
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