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「あー。仲悪いって本当だったんだネ」
呆れたような言葉は、この部屋の主・調査隊隊長の発したものだった。黒髪ボブカットの年齢不詳性別不明な隊長は苦笑しながら俺達を見ている。
「不毛な喧嘩は一旦やめてもらっていいか? 君達には現状を把握する義務がある」
その隣に立つ、ザ・男。と言う感じの金髪の副隊長がセリフを繋いだ。
「君らが招集されたのは、地球=銀河探査団からの正式な要請だ。喧嘩してる場合ではないぞ」
その言葉に。
『喧嘩をふっかけてきたのはこいつですっ!!』
俺がシスを指差すのと同時に、シスもこっちに指を突きつけてきた。腹ただしい事にほぼ同時にだ!
基地責任者達が溜め息を吐いた。
「どちらが喧嘩をふっかけようと、我々は仕事さえしてもらったら構わない」
「とりあえず、話は黙って最後まで聞いてくれるかネ? その前に、紹介しようカ。この子がこの星の問題を解決してほしいと依頼してきた個体だヨ」
隊長が隣に待機していた機械……『L・A・M』を紹介するように指し示した。
それは地球人類の作る人型ロボットにどこか似ていた。骨格は金属製、ボディを覆う外郭は元は白かったのが煤けて灰色になっているようだ。身長は百センチ程度。顔に三つのカメラと外部に音声と伝えるためのスピーカーがついていた。
隊長が情報端末を使いその個体とコミュニケーションを取った。異星ロボがこちらに歩み寄る。と、シスの後ろに控えていた地球製ロボが俺達の前に出た。
小型犬を模したロボは、レオナ=ヴィンだろう。L・A・Mの解析に特化したインターフェイス。間違いなくシスが子供の頃からそばに置いている彼女専用のサポートAIのはずだ。
<僕の名前はαセカンド。この星・168のロボ製造を管理するαグループのサブリーダーです>
その部屋にいる全員が公平に話が聞けるように、レオナがL・A・Mの言葉を通訳し対人用スピーカーを通して伝えてくる。
シスがすでに彼らの言語を解析済みなのは知っていた。認めたくないが奴は優秀だ。
そう、俺の仕事に欠かせないぐらいには。それがまたムカつくが。
<皆さんの力をお借りしたい問題というのは……>
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