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「製造ライン上のプログラムは修正してあるんだな?」
<はい。ですが正規のプログラミングがなされる前に、異常個体が新造個体を連れ去ってしまうので、現在正しい行動プログラムを持つロボは、私達αグループ以外存在していない状況に>
レオナを通した俺の質問にセカンドが答え、シスが追加の質問をする。
「αグループとして、異常個体群の説得はしなかったの?」
L・A・Mの基本すら知らない阿呆な質問だ。シスは本当にプログラム言語以外の知識はないのか。
「そんな機能、ロボの製造ラインを管理する主工場にあるわけないだろ。L・A・Mの……いいや、実機ロボット工学の基本じゃないか」
思いっきりバカにするのに、丁度よかった。俺が生暖かい笑みを浮かべて指摘してやると。
「L・A・Mの存在のあり方は千差万別よ。主工場が子機のコントロールをしてる事例もあるわ。聞いてみて損はないでしょ」
シスは片眉を上げた。その表情、腹ただしいことに叔父さんとそっくりだ。
「そう言うタイプだったら、わざわざ人類に問題解決するとも思えないな。もうとっくに自分達でどうにかしてるだろ。状況の想定力足りないんじゃないか? ま、研究室にこもりっきりの学者さんにはありがちだけどな」
「へえ。私達のサポートがないとL・A・Mのプログラムひとつ解読できない、頑丈なだけの脳筋男が何言ってるのかしらね〜」
「な・ん・だ・と?」
「事実でしょ? 私の部署がお膳立てしてあげて、そっちの仕事が成り立ってるんだから」
「引きこもりがっ、」
「はいはい、そこまでだヨ」
隊長が俺の言葉の途中で手を叩き、俺とシスはハッと現実に戻った。
「喧嘩は後回しだ。まず君達には#群と♭群の観察と彼らの解析をしてほしい。この星のロボの作動プログラムの基本はセカンドからの情報提供ですでにシス君たちに解析してもらってるが、異常個体がどこまで異常になっているのかはまだ不明で、まずその把握を頼む」
「こちらで準備はしてるから、早速チームを率いてほしいんだヨ」
「この脳筋と一緒にですか?」・「この頭でっかちと一緒に?」
俺とシスの言葉が重なった。
「そーだヨ」
隊長が苦笑する。
『遠慮します! チームなど必要ありません! 情報は全てサポートロボに入れますし、単独行動の方が得意……?』
また、二人の声が重なり。
『真似(するなよ・しないで)!』
基地責任者達がまた呆れた顔をした。そして、彼らは顔を見合わせ……。
「ま。君達がそう言うんなら仕方ないネ。チームは分けとくヨ」
隊長はさらに苦笑いしながらそう言った。
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