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異常が発生してから、数日がたった。未だこの部屋は地下深くに向けて下降を続けている。
今井はこの状況について世界のバグであると思うことにしていた。
そのバグが自分という生命体を中心として起こっているのか、この空間で起こっている異常に自分が巻き込まれただけなのか、わからなかった。
しかし、おかしなことに部屋の中には異常はないのだ。この部屋は変わらず生活のすべてが整っている。故に自分という個人を中心に起こっているのだろうか。
考えれば、自分は人間としての矛盾を抱えていた。人間はコミュニティの中に生きる生き物だ。群れるからこそ強い。それなのに、自分は他社との関わりを絶った。人間としてバグっているのかもしれない。だから、自分の世界はおかしくなったのか?
一体この状況は何なのだろうか。
何が原因なのか。そんなことを考えても、彼の様な無力な個人ではこの問題について答えを出すどころか、その糸口すら見つけられることはできない。
結局今井は、答えのない今後について先延ばしにしながら引きこもり生活を続けるしかなかった。
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