珀石病

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珀石病

注意事項 ※珀石病(はくせきびょう)は架空の病気であり実際には存在しません。 それを踏まえて安心して読んでくださいね! (わかっている人が大半だと思うけど一応。) ーーーーーーーーーー 珀石病とは…。片目が琥珀色(オレンジっぽい)になり、異常なほどに目が大きくなり、次第に目が見えなくなる。視力を失うと同時に人の心が見えるようになる。石を見るとパニックになる症状。感染力はなく、世界に一人しかいない奇病。 ーこの物語はそんな病にかかっている一人の少女の話。  私はモリル。フツーの13歳だけど一つだけ、皆と違うことがある。 それは、珀石病を患っていること。生まれつきなんだ。  世界に一人しかいないから、研究対象になってる。だからほとんど研究室にいるの。学校にも行けない…。おまけに、いつ片目が見えなくなる恐怖と隣り合わせだし。欲を言うと、私は外出したい!友達と遊びたい!話したい!  …なのにできない。わたしにとって迷惑な病だけど一つだけ不思議なことがあるんだ! それは、目が見えなくなると周りの人の感情が見えるようになること。 研究者達はこの謎を一番解明したがってる。  ー私は、今日もモルモットだ。  その事実がとても、いやだった。視力をうしなうと周りの人の感情が勝手に色になって見えるだけなんだから。  なぜそんなことになるかは分からなかったけど、共感能力は普通の人より高い気がする。今日は少し違うことが起きた。病室に知らない人が来たのだ。  黒いコートを着て、黒い帽子を被ってた。とにかく黒ばっかりだった。 その人は帽子を深く被ってたので、顔は見えなかった。その人はお見舞いに来たわけでもなく、研究するでもなくきょろきょろしてた。  私にはそれは奇妙に見えた。そしてこんなことを考えてしまった。 ー誘拐しに来たのかしら? と。 …まぁ誘拐しようとする人たちは結構多い。だって条件は限られているとしても、心が見えるんだもの。情報とか、好きな人の心を見たいとかそんな理由で攫おうとするのだ。  私はそういう人は愚かだと思った。どうせ、研究者達に潰されるのに。と思ってしまうからだ。  その人は私に話しかけてきた。 「君はこの日常から解放されたいかい?」 私はひどく動揺した。だって研究者達のモルモットはいやだと思ったが、突然変えれるといわれてもどうすればいいか分からないからだ。 凄く悩んだ末に私はこう言った。 「…解放できるなら解放してくださいよ。」 「じゃあ、君に“健康な体”をプレゼントするからね」 その人が何言ってるか分からなかったが、とにかく健康な体が手に入るなら何でもいい。この日常から早く解放されたい。そう思う一心でその人の事を見ていた。 すると突然その人は本を取り出し、開いて私に見せた。そして私は眩しい光に包まれた。しばらくして光が収まると私は両目がしっかりと見えていた。  もしやと思い鏡を見たら普通の目に戻っていた。石を見た。パニックにならなかった。…そう完全に病気が治っていたのだ! あの人は何者か気になったがとにかく私は健康な体を取り戻した喜びに駆られていた。  学校に行こう!外出しよう!今すぐ家族に会いたい!今はやりたいことがたくさんあった。不思議なものだ。退屈だった毎日が、健康な体と手に入れたというだけで、キラキラと輝くのだから。何しようとわくわくしていたら……夢が覚めたようだ。今私は、研究者によって幻覚を見せられてたようだった。  私は凄くがっかりした。 ーあぁ、またこの毎日が続くのか嫌だな。 今日はとてもいつもと違っただけで楽しくはなかった。でも夢ができた。それは“健康な体”になることだ!健康になれば何でもできる気がする。 そのためには率先して研究に付き合わないと。今日のおかげで少し希望が持てた。  明日も頑張ろう!“健康な体”を取り戻すために!  
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