妹からの告白

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俺の妹である好美(このみ)は、小さい頃から部屋の隅で本でも読んでいるような大人しい子だった。母親はそんなあいつの事を扱いやすい良い子と言って喜んでいた。 活発で目を離すと3秒で何処かに居なくなっているタイプの子供だった俺を苦労して育てた彼女の目からすると、妹は余計に良い子に映ったのだろう。 でも、そんな普段はそんな風に大人しい好美も、時々俺に関する事で凄いわがままを言う事があった。 例えば、「知らない女の人にお兄ちゃんを取られたくないから、誰とも結婚をしたりしないで!」とか、「お兄ちゃんと同じ高校に行きたいから、絶対に男子校には進学しないで!」なんて言われた事がある。 勿論、俺はそんな妹の発言を本気にしないで、適当に「一生俺に独身でいろって言うわけ?俺は孤独死するなんてごめんだよ。」と言い返したり、家に近いからと言う理由で高校は男子校に入学したりしていた。 好美はそうやって自分のわがままを俺がまともに叶えようとしないと分かる度に、顔を真っ赤にして怒って自分の部屋に引っ込んだ。俺はそんなあいつをずっと単なる酷いブラコンだと思っていたのだ。 でも、ひょっとしたら、本当にあいつは俺の事をずっと好きだったのかも知れない。相手が結婚式を挙げる1週間前に気が付くなんて遅すぎるけれど。
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