和尚は赤いのがお好き

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 まさか、叔父さんに愛人がいるのか? あの実直な叔父さんに限って、とは思うものの、人は見かけによらないと言うし、叔父さんだって男だからな、とも思う。この赤心寺はそれほど裕福とは思えないが、寺である以上税金面で優遇されているので、小金を貯めこんでいるのかもしれない。だけど、あの叔父さんが不倫をするなんて……。  そのとき、もっとおぞましい考えが浮かんだ。待てよ、高級下着を購入するのは、他人に着せるためとは決まっていない。自分で着るために購入することもあるのでは……。えっ、叔父さんに女装趣味があったのか?  頭が禿げて、お腹が出ているメタボの叔父さんが、あの赤い下着をつけるのか。そんなバカな、と思うのだが、人の趣味はわからないものだ。  佑は必死に善後策を考えた。  やっぱり、叔父さんに正直に告白して詫びるか。  いやいや。もし、あれが叔母さん用だったら、気まずくてもうここにはいられない。  愛人用だったら、夫婦喧嘩の種になり、叔父さんは騒ぎのきっかけを作った俺を追い出すだろう。  自分用だったら、叔父さんは、女装趣味を知られた気まずさのあまり、結局、俺を追い出すだろう。
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