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「どうして?どうしてわかってくれないのっ?」
「そんなこと、わかってあげられるわけ、ないでしょう?」
「あたしの人生でしょ、好きにさせてよ!」
「私はあなたの母親よ、不幸になるようなこと、許せるわけないでしょう」
「決めつけないでよっ……産んでくれなんてっ、たのんだおぼえなんか、ないんだからっ」
「はるかっ」
はるかは家を飛び出した。
行くあてなんかなかった。
ただ一つ、確かなのは、はるかが〈家〉を失ったということ。
悲しくはなかった。
はるかはただ、走り続けた。
前も見ずに走って通りに飛び出したとき、
真っ白な光が、はるかをつつみこんだ。
激しいクラクションの音だけが、
いつまでも鳴り響いて聞こえた。
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