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初恋は保育園の年長、担任の先生だった。女の子たちが競って先生のお嫁さんになる!と騒いでいたので、俺も負けずに「先生のお婿さんになる!」って宣言したら、寄ってたかって「男同士はケッコンできないんだよ」と言われて悔しかった。そのときは何で相手が男だといけないのか、全然わからなかった。でもあまり気持ちを表に出しちゃいけないのかなあとは思うようになった。
中学生の頃は多少モテたので女子と付き合ってみたりもしたが、なんだか違和感があって碌に手も繋がずに別れてしまった。あのとき付き合ったナカムラさんには悪いと思っている。自分がゲイだと気付いていなかったんだ。
それを自覚したのは高校生になってからだ。また担任の教師を好きになってしまった。採用されたばかりで頼りないところもあったけれど、俺とクラスメイトがふざけて教室の中でキャッチボールをして窓ガラスを数枚割ってしまったときは、物凄い剣幕で叱られた。一応反省しているような態度をしながら、俺は胸をときめかせていた。険しい表情をしているのに目が潤んでいるのがたまらなくて、何度も夜のオカズにしてしまった。とはいえ、教師と生徒の関係を壊す勇気は俺にはなく、二度目の恋も片想いで終わってしまった。
どうも俺は年上が好みらしい。大学生のときに付き合ったり遊んだりした相手はみんな5歳以上離れていた。年上なのに可愛いタイプが好きなんだよなあ。それって贅沢な理想なのだろうか?最後に付き合ったひとは老舗酒蔵の御曹司で、可愛い上にあっちも凄かったのだが、就職してひとり暮らしを始めたのを機にそれとなく同棲しないかと言ってみたら、お見合いで結婚が決まったからとあっさり別れを切り出された。そもそも住む世界が違ったのだと、失恋そのものは諦められたのだが、バリネコなのに実はそっちもイケるんだ……っていうのがショックで……妄想しては余計に落ち込んだ。
それからは遊ぶ相手はいるものの、付き合うまでには至らなかった。しかも、この春に異動してきた課長が鬼……いや非常に高い要求をしてくるのだ。何度書類を突っ返されたことか。細かいことまであれこれ指摘してくるし、意に添わないと絶対に決裁をしてくれない。それに応えるために残業どころか休日出勤もしている。金は貯まるが夜の街になかなか遊びに行けなくなってしまった。ゲイだから社内恋愛も期待できない。俺はいい加減性欲を持て余し……じゃなかった、恋愛に飢えていた。
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