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葬儀の後
川島美玖が死んだ知らせが届いてから、全てが片付くまで、そんなに時間はかからなかった。
つい先日小学校を巣立った私たちにとって、顔が知れた仲間で再び集まるのは毎日教室で顔を合わせる感覚だった。特別懐かしい なんて感情は湧かなかったし、こういうのって案外近親者以外はすぐに立ち去ってしまうのだなと思った。
「・・・なんで死んじゃったのかなぁ・・・」
今まで美玖をありがとう なんて、仲が良いわけじゃなかった一人ひとりに母親が渡してた洒落た紙袋をブラブラさせながら香織は、私と肩を並べて歩く。
「ねー、本当に突然だよね。」
私も適当に相槌を打つ。真新しい中学校の制服に身を包んだ香織を見るのは卒業式以来。だから、あまり慣れてなくて変な感じだ。いつも通っていたはずの通学路でさえ、今日は異世界のように感じてしまう。
「・・・うわぁ 桜満開だね。」
感情を紛らわすために頭上を見上げた私は、ボソッと呟く。
私と香織の頭上には、咲きたてのパステルピンクが心地よい風に揺れていた。香織は私とほぼ同時に頭上を見上げ、なんとなく嫌そうな顔をする。
「こんな日に満開なんて・・・」
「不謹慎?」
「不謹慎じゃん。」
「うん。」
通っていた小学校の塀からは、低学年の黄色い声が響く。本来なら行間休みの時間なのだが、私たちには関係のないことだ。
私も香織も、なんとなく決まりが悪くなって足を速めた。
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