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 みんな、こんにちは!  私はジュリア。どこにでもよくいる、前世で乙女ゲームやTLが好きだったちょっぴりオタクな転生令嬢。  ある日、謎の生物をトラックから庇って轢かれて、見知らないけど百回くらいは見かけたことのあるヨーロピアンなファンタジー世界に転生した私は、前世の記憶を持ったままスクスクと育ち、やがてここが乙女ゲーム的な世界って知ったの。  知ってるタイトルに似ている人や設定が出てくるとかでもないし、私も最初は半信半疑だった。  でも、不自然なくらいイケメンとの出会いが多いし、好感度が上がるとエフェクト付きで音が鳴るなんて、乙女ゲでしかないでしょ?  頭のおかしい奴って思われると困るから、エフェクトについては人に聞いたことはないけど。  エフェクトくらいなら無視していればよかったのかもしれないけど、選択肢を一つ間違えるとバッドエンドに直行するタイプのシナリオっぽいと気付いてからは、無駄に緊張の日々を強いられているわ。  うっかり密談を覗いてしまった時、私は上手く隠れたんだけど、たまたま聞いてしまった使用人が翌日からいなくなっていたりしたから、毎日気が気じゃなくて。  イケメンはもちろん好き。でも、それはキャラとして。  私自身のロマンスや摩訶不思議なアドベンチャーはいらないの。顔はいいけど病んでるキャラに座敷牢に繋がれたりしたい願望とか一切ないわ。  今世でも、前世と同じように、巷に溢れるロマンス小説を読み、ダンスパーティで初々しいカップルの誕生を眺めてはニマニマする壁乙女ライフを楽しみたかった。  イケメンは、不幸な境遇の女性を見初めて幸せにしたり、うっかり悪役令嬢にときめいてくれたりしてればいいのよ。  だから、とにかくフラグを回避しまくっていたんだけど、気付けば何故か…敵国の王子のルートに入ってしまって、現在絶賛祖国との開戦直前⭐︎  ……正直今は後悔している。  適当に普通そうな人柄のイケメンのルートに入っておけばよかった。  彼は、なんかちょっと不器用そうだけど悪い人ではないと思う。イケボだし。イケメンは大体イケボだからそこに希少価値があるのかどうか不明だけど。  普通の令嬢のように振るまう気がなさ過ぎて、百回読んだ「おもしれー女」的なアレで気に入られてしまった私も迂闊だった。  でも、だって仕方ないじゃない。  好感度が上がるかどうかは見られても、チャートシステムもないし、クイックロードクイックセーブ巻き戻しができないんだもの……!  もしかして、誰かのルートに入らないと強制的に彼のルートに入ってしまうシナリオで、ノーマルエンドはなかったのかも……。  とりあえず、死亡フラグだけは回避しなくては。  私の輝かしい稀によくある優雅な転生令嬢ライフのために!
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