第5話 スポーツジムのコーチと幼女

1/1
前へ
/9ページ
次へ

第5話 スポーツジムのコーチと幼女

 オレは白瀬(しらせ)と、スポーツジムで汗を流す。 「ねえ、小宮山(こみやま)、くん」  ランニングマシンで走っている白瀬が、マットでストレッチをしている少女と男性コーチをに視線を向けていた。  少女は一〇代前半くらいか。細マッチョのコーチに、手取り足取り教わっている。 「あれって、さ、デキ、てんの、かな?」  あんな小さい子も、性妄想の対象かよ! 「走り、ながら、よく、そんな、妄想、が、できるな」 「妄想でも、しないと、やってられ、ないよ。こんな運動っ」  話しながらしゃべるのが限界だったのか、白瀬はマシンのモーターを減速させた。ウォーキングに切り替える。ちょっと早足くらいに。 「あの二人さ。トレーニングしている割に、なんかベタベタしてない? 手とか足とか触っててさ」  見ていると、少女とコーチはかなり親しい関係のようだ。少女は全開脚させられて前から腕を引っ張られても、平然としている。かなりコーチを、信頼しきっているらしい。  コーチも、曲がっている少女の足を伸ばしたり、手の位置を調節したりしている。 「体操の選手だろ? あるいは整体の先生とか、そんな感じだぞ」  今は小学生前後でも、ちゃんとしたストレッチやマッサージをしてケガを減らすという活動も活発だ。若いうちにケガをしたら、取り返しがつかない。 「それにしては、スキンシップ激しすぎ。女の子も、気を許し過ぎじゃないかな。あのままだと、誰もいないシャワー室でオトナのマッサージに突入しちゃうよ」 「ないわ! 行き過ぎたポリコレかっ! なんでもかんでも性に結びつけてやるなよ」 「可能性があるって話をしてるのっ」  足を止めて、オレは白瀬に問いかけた。 「お前、エロマンガ家にでもなったら?」  ぜえぜえ言いながらも、想像セックスでもち直せるんだから。 「ムリだよ。私の絵のセンス、小宮山くんも知ってるじゃん」  白瀬もマシンから降りて、スポーツドリンクを飲み干す。 「まあ、そうだな」  コイツは、マンガも小説も読み専門だった。「消費することが生きがいなので、生産者には回りたくない」というのが、コイツの信条である。  グルメリポーターとして味わいたいのと、料理人になるのは違う。 「私の妄想は、私だけのものなの。人に消費されたくない」  なんだよ、そのこだわり? 「うわあ、身体が柔らかいね。I字バランで、すごいプレイとかさせられそう」 「だから、幼女にそういう妄想すなっての」  こういう頭がオッサンの奴が妄想を外部に発散するから、周りのガードが固くなるんだろうな。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加