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「あらまあ。若い頃は受け付けもやってたわ。でもやっぱり受け付けは若い子の方がいいから」
「いえいえ、誠実そうで人当たりも良いあなたのような方が会社の顔としては相応しいと思います」
「あらまあ。確かに私は20年勤めてるから大概の事は知ってるかも」
気を良くしたオバサンは色々話してくれた。社長は社長に就任してからずっと奥さんに送迎してもらっていた。奥さんの都合の悪い時は奥さんの家族が送迎したそうだ。
それは社長も若い頃は浮名を流していたので浮気防止のためだと思われる。しかし社長に就任してからは仕事一徹人間になったそうだ。責任感は強いらしい。
毎日妻が送迎していたら愛人なんて作れないだろう。社長秘書も1人ではなく数人が毎日勤務しているので社内で社長と2人きりになる事はないという。そして出張や打ち合わせなどで外に出る際は、秘書課の課長の男性が付き添うという。
「ありがとうございました。とても参考になりました」
「あら、誰かを調べに来たんじゃなかったの?」
「実はこちらの会社と契約を結ぼうとしている、とある企業からの依頼でして。あなたのお話を聞く限りブラック企業ではないと分かりました」
「あらそうなの?」
「女性が長年勤める事が出来る会社がブラックなわけがありません。優良企業だと報告させて頂きます」
「ええ、とても良い会社よ。定年まで働きたいわ」
「頑張って下さい。あ、私が調査に来た事はくれぐれもご内密にお願いします」
「勿論よ。あなたも頑張ってね、探偵さん」
オバサンはご機嫌で帰って行った。
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