5%は内密で

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「すぐ外した方がいいです。東山に見られる前に」 「そ、そうですね」  お母さんは慌てて写真を外した。 「久美さん、もしかして……」 「小さい頃から団子っ鼻がコンプレックスで、初めてのお給料を貰ってすぐに病院へ行って手術して来たんです……」  何だ、赤ん坊は久美さん似だったのだ。整形してなかったら東山は疑問を抱く事もなかったのだ。 「あの……この事は祐介くんには……」 「勿論内密にしておきます。せっかくの仲良し家族に波風を立てたくありませんからね」  ご両親は安心した顔をして名刺代をタダにすると言い出した。しかしそういうわけにもいかない。東山から貰った報酬はたんまりある。  東山は久美さんに騙されている。それを俺は知っている。その事実だけで俺は満足だ。 「ご馳走さまでした」 「何のお構いもできませんで」 「いえ、とても美味しいお茶でした。ありがとうございました」  俺は愛車スーパーカブに跨った。今日も機嫌の良さそうなエンジン音を轟かせている。さあ名刺を配りに行くぞ。未来の名探偵を乗せられる名誉を喜び歌え。俺は期待に胸を踊らせながらスロットルを開けた。 〈終〉
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