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オバサンの話からすると久美さんが社長の愛人である可能性はほぼゼロだ。だとすると赤ん坊が社長に似ている理由として考えられる事といえば2つ。
1つ目は久美さんのお母さんが社長の愛人だった。そして生まれたのが久美さん。そうすると久美さんと社長には血の繋がりがある事になる。
そしてもう1つ。社長の息子と久美さんが付き合っていた可能性だ。戸籍上では社長には娘しかいない。しかし結婚する前に付き合っていた女性との間に息子が生まれている可能性も否定できない。
先ずは調べ辛い方からいってみるか。俺はスーパーカブの進路を社長宅へと向けた。
塀に囲まれた屋敷を1周するのに5分かかった。もちろんオートバイでだ。さすが社長宅、デカい家だ。ご近所さんに話を聞こうと思ったが、ご近所さんが多すぎる。
どうしたものかと玄関前で悩んでいると、勝手口から女性が出てきた。これは好都合。
「こんばんは」
声を掛けると女性はいぶかしげな目つきで俺を見た。年の頃は還暦ちょい過ぎ。小綺麗にしているが服装は一般庶民のものだ。この家の人間ではないと思われる。家政婦といったところか。
「どなた?」
「興信所の者です」
こういう時はまるっきり嘘をつくとすぐにボロが出る。作り話をするにしても素の自分でいた方が信憑性が出るというものだ。
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