13人が本棚に入れています
本棚に追加
「21時になったら警察に連絡する。そしたら明朝には捜索隊も出るやろ。明日はお前さんは休みだし気にせずゆっくり休まれや。」
これで納得してくれと言わんばかりで支配人は嘆息を漏らした。
「そうですか。分かりました。」
そう言って私は半ば押し切られる形でその場を後にした。
そして、寮に戻る前に旅館のお風呂に浸かりながら田口様の様子を思い返していた。
思いつめた様子はなかったし、挨拶してもきちんと返事してくれていたし……。
一抹の不安は拭いきれなかったが、どうにも自分には別の目的があってこの地に訪れていたように思えてならなかった。
翌朝…。
疲れていたせいか色々考えてた割に、いつの間にか寝落ちしていたらしい。
ただでさえ硬いベッドに変な体勢で寝ていたからか体が痛かった。
時刻はまだ7時。
今日は休みだしこのまま二度寝したい気分だったが、田口様の安否が心配でもある。
支配人からは気にせずゆっくり休めと言われていたが、気になるものは気になるのだ。
とは言えまだ朝早いうえにこの時間は職場も忙しなくしているから連絡するのも気が引けた。
早る気持ちを抑えるため、とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着くことにした。
最初のコメントを投稿しよう!