一人旅

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日食のお客様もお帰りになり、静かな時間が 流れていた。 今日は新規の宿泊客は3組だけだった。 平日とはいえ少ない。 チェックインの時間までのんびりできる。 とはいえ暇すぎると眠くなるのも困ったものだ。 昼食を済ませた後というのもあるが、欠伸が出てしまう。 今夜は宴会もなく静かな夜になりそうだ。 そして15時過ぎから続々と今夜の宿泊客が訪れ、今日は早くもチェックイン業務が終わってしまった。 今日は18時までだし明日は久しぶりの休日だ。 何して過ごそうかな…そんなことを考えていると今朝出かけた田口様がまだ戻ってきていない。 予定では16時頃には戻ると聞いている。 支配人に確認して対応を相談し、田口様に連絡してみたが繋がらない。 「なんか雲行きが怪しくなってきたな。」 支配人はぽつりと呟いた。 「ただ遅れてるだけだといいですね。」 そんな支配人の不安そうな顔を見て私は気休めにもならない言葉を続けるのだった。 そして18時を過ぎても田口様は戻って来なかった。 退勤時間を過ぎているが支配人の上がっていいぞと言う言葉に素直に頷けないままその場で待機していた。 そして時刻はいつの間にか20時になった。 すると支配人はスッと立ち上がり言う。 「やっぱりおかしいな。女将とも相談してくる。」 と言って事務所を出ていった。 30分くらいして神妙な面持ちで支配人が戻ってきた。 「今日はもう上がれ。お疲れさん。」 「いや、あの、どうなったんですか?」 「お前さんは明日休みだろ?気にせんでええ。」 「いや、でも!どうするのかだけでも教えて下さい!」 語気の強くなった私を見て、やれやれといった表情を浮かべながら支配人は言った。
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