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リアンノは、混乱して口をパクパクさせた。まったくもって、意味が分からない。それも当然のことだ。それまで大人しかった執事から「破滅フラグを回避した」と前触れなく宣言され、思わず罵倒すればなんとも嬉しそうに微笑まれたのだから。
リアンノはだんだんこの訳の分からないシチュエーションに、腹が立ってきた。
(そもそも、なんで私の縁談をめちゃめちゃにした男に、こんなこと言われなきゃいけないの!?)
◇◆◇◇◆◇
なぜこのような状況にリアンノが陥ったのか――
事の発端は、3日前に遡る。
アリアッセル平原の丘の上にあるクラーセン伯爵家の白亜の城は、いつにもなく騒がしかった。クラーセン家の一人娘であるリアンノに、ついに縁談が舞い込んだのだ。
リアンノの見合いの相手は、トルトーネ王国の第三王子であるヴァルナー・ゲーヘルト。少々短気なところはあるものの、輝く美貌で数々のご令嬢を虜にする16歳の王子だ。リアンノは15歳だから、1つ年上になる。
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