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年が近い上に、リアンノも黙っていれば美少女という分類の顔立ちだ。お似合いのカップルになるだろうと、貴族たちの間ではもっぱらの評判だった。その上、リアンノの家柄もやんごとない。クラーセン家は、田舎に領土があるとはいえ、建国以来からの貴族であり、いわゆる名家と呼ばれる家柄だ。
そして、リアンノの父であり、クラーセン家の当主であるフェルイ・クラーセンと、ヴァルナーの父であるリレール国王は古くからの友人である。
クラーセン家の一人娘であるリアンノと第三王子との見合いは、べつだん驚くこともない、なんとも貴族らしい妥当な見合いだった。噂を聞いた貴族たちは、「十中八九、二人は婚約をするだろう」と頷きあったほどだ。
そして、当のリアンノと言えば、この国の第三王子との見合いを前に、とにかく張り切っていた。
「この私に似合うドレスを国じゅうから集めなさい!」
そう行商人たちに命令して、20着ほどのドレスを買い集めたリアンノは、自らのミルクティー色の髪に似合う、一番豪奢なドレスを選んだ。アクセサリーも隣国の珍しい真珠をふんだんに使ったものだ。村人が一生働いても買えないようなものばかりである。
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