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「それでは、私はこの辺で失礼いたします。新婚であるお二人のおじゃま虫になる気は、毛頭ございませんので」
ごゆっくり、と優雅に手を振ると、ハレシアは長い黒髪をなびかせて満足げに部屋を出て行く。ハレシアが去った部屋は、一気にシンと静まり返った。
あとに残されたリアンノとカイネは顔を見あわせて苦笑する。
「嵐のように去っていったわ」
「久方ぶりにお会いしましたが、ハレシア様は相変わらずですね」
「そうねえ。でも、ハレシアは次期国王候補なのに、相変わらず気さくで機転が利くし、全然偉そうじゃないわよね。親友の贔屓目なしでも良い王になると思うの」
「……国王になったあかつきには、真っ先に法律で美男美女を保護する、とか言いだしそうな気もしますが」
「カイネってハレシアに対して辛辣すぎやしないかしら」
「気のせいですよ。遊びに来られるたびに私の愛おしい人を長時間一人占めするので、ちょっとだけ嫉妬しているくらいです」
カイネはそう言うと、甘えるようにリアンノの肩に額をのせる。首元に柔らかな黒髪が触れ、リアンノはびくりと身体を震わせた。
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