おしまいのお話

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「……からかうのはやめて。私ったら、すぐ赤くなってしまうんだから。これでも一応、気にしていますのよ」 「お嬢さまはそのままで良いのですよ。分かりやすくて、可愛らしい人」  頬を膨らませて睨むリアンノの目の縁や耳朶に、カイネは優しくキスを落とす。リアンノは小さく息をついて、一瞬抵抗するようなしぐさをしたものの、カイネのキスに懐柔されたリアンノは、ついに柔らかな唇へのキスも許してしまった。 「カイネ――……」  頬を赤くしたリアンノが、少し息を切らしてまっすぐカイネを見上げ、背伸びをした時――…… 「あっ、聞き忘れていました! 明日のドレスの色は何色ですか……――って、ギャーッ!! いちゃつき尊ッッッッッ!!」  騒々しい声とともにノックもなく扉が開く。そして城中に轟かんばかりの悲鳴が響き渡り、そしてバターン、という派手な音がした。  もちろん、一連の騒動は全てハレシアがやったものだ。明日のドレスの色を被らせないよう、念のため聞いておこうと気軽な気持ちで戻ってきてドアを開け、彼女は見てしまったのだ。  推しである二人がうっとりとキスをしている場面を。
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