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「もうすぐバレンタインか」
少し前までカップルしか得しないこのイベントが嫌いだった。
ただ、今私は隣の家の彼に恋をしてしまっている。
去年は恥ずかしくてあげられなかったけど、今年はなんとしててでもあげたい。
そんな想いから、バレンタイン1か月前から練習をした。
私と違って料理が上手い彼をびっくりさせたい。
彼とは学校は違うが、回覧板を届けに行く時に話したり家にお邪魔させてもらう仲だ。
~バレンタイン前日~
私は彼が好きだと言っていたガトーショコラを作った。
1番上手くできたものを取り分けて、可愛くラッピングした。
明日の予行練習もバッチリ。
~バレンタイン当日~
一息吸って家のピンポンを押した。
彼が出てきた。
ぎり届く手を伸ばして、彼の頬に手をつけた。
漫画で好きならこれくらいしないと分からないと聞いたからやってみたけど。
セリフど忘れした。
どうしようなんて言おう。
「手冷たいでしょ?」
しまった。
さっきまで暖かい家にいたし、おまけに私は暑がりだから冷たいはずなんてない。
「んー、冷たくはないかな。むしろ暖かい」
と彼は微笑む。
まあ、このおかげで話題が増えたから良しとするか。
「ちょうど今クッキー焼けたから上がっておいで」
とちゃっかり家に入れてもらった。
私が作ったガトーショコラと彼が作ったクッキーを一緒に食べながら、何気ない会話をした。
実は手紙も書いてきたのだが、さすがに恥ずかしくて隠した。
そのなこんなで、帰る時間になった。
~1か月後〜
ご察しの通り1ヶ月後はホワイトデー。
また家に呼んでもらって、今度はマカロンをお返しとして食べさせてもらった。
さすがの女子力の高さだ。
男子だけど。
食べている時に手紙を渡された。
「もう気づいているかもしれないけど、好き。俺と付き合って欲しい」
実はこの日もあの時の手紙を持ってきていた。
「私の気持ちはここに書いてあるよ」
と私からも手紙を渡した。
2人でお互いの手紙を読み合った。
こうして、私たちは付き合い始めた。
2年越しの片思いがかなった最高のホワイトデーだった。
ちなみに、彼は私より2年。
つまり4年の片思いだったらしい。
いわゆる両片思いってやつだ。
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