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 空の神と大地の神がいた。二柱の神は互いを唯一とし、深く愛し合っていた。二柱の神は片時も離れることなく、互いをきつく抱きしめていた。ところが、そんな二柱の神の仲を裂く存在が現れた。  『世界樹』だ。『世界樹』はかたく抱きしめ合っていた二柱の神の間に割って入り、空の神と大地の神は遠くに引き離されてしまった。空の神は哀しみ、大地の神を想って涙を流した。空の神の涙は大地の神に降り注ぎ、大地の神を慰めていた。  引き離されてもなお、空の神から落とされる全てのものは、雨粒一粒でさえ大地の神のためにあった。『世界樹』がどれだけ深く大地の神に根を張り力を得ようとも、空の神から降り注ぐ全てのものが大地の神に力を与え、癒し続けるものだった。  潤って育った大地の神は、そこから大気を作り、生命を生み出し、空の神へと返した。『世界樹』がどれだけ遠く高く引き離そうとも、二柱の神の絆が揺らぐことはなかったのだ。かつて互いをきつく抱きしめていた時と変わらず、二柱の神の間で全てが循環していた。  『世界樹』は大地の神と空の神のようになりたかった。  愛情を注ぐもの。途切れることなく、一心に降り注がれる愛情こそが、至宝に等しく尊いものである。  『世界樹』は自分のための『鳥』を生み出すことにした。大地に根を張る『森』を巡り、大気を駆け抜け、やがて自身に還る。  自分のための、唯一。  そうして『鳥』は誕生した。
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