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はずれくじは希う。
友達を作る方法がわからない。
そんなことを言うと、一部の人は“そんなの簡単じゃん”と言い、一部の人は“わかるわかる”と頷くのではなかろうか。
友達を作る方法がわからなくなる人間の多くは、過去に友人関係で揉めたことがある人間だろう。
私はまさにそんな人間だった。小学校二年生の時に起きた出来事がどうしてもトラウマになり、四年生になった今でも友達の作り方がわからずにいるのである。
友達ってなんだろう。
一緒におしゃべりをすれば友達になるのだろうか?
一緒に遊びに行けば友達になるのだろうか?
自分は相手の子を好きになっても、相手の子が自分のことを好きじゃなかったら?心の中で“こいつは友達じゃないし”と思われていたら、それはどれほど親しくしていても友達ということにはならないだろう。
私はそれが、怖くて仕方ないのである。
自分は相手の子が好きで、友達だと思っていても相手がそうではなかったら?そもそも、友達というのは「友達になったよね」とお互い確約するようなものではない。誓約書を書いて誓いを立てることでもない。友情の片思いほど、空しいものはないだろう。相手は本当は自分のことが好きではないかもしれない、むしろこれから嫌われるかもしれない。そうびくびくびくびくしながら相手のご機嫌を伺って、相手の意図を、空気を読んで読んで読んで読んで読んで読んで読み続けて疲弊して。
――もうそんなの、無理だ。
三年生の時は、それで完全にすり減ってしまった。私は耐えきれなくなり、四年生では“友達”を作るのをやめたのである。休み時間に、無理やり誰かに話しかけにいくことも、昼ご飯の時間誰かのお喋りに付き合って笑顔を作る必要もない。ひとりの方が、ずっと気楽だった。
問題は一つ。
「それでは、席替えをしましょう!」
席替えの時。
やたらと“仲の良い人同士”で組ませたがる先生のせいで、“友達”がいない私は必ず最後の一人になってしまうこと。
私はハズレクジだった。
先生が仕方なくほかの子と同じ班にすれば、相手の班の子を困らせる。だってせっかく仲の良い友達同士で班を作ったのに、それに飛び込んできた私は異物でしかないのだから。
引いた人を困らせてしまうハズレクジが欲しい人なんて、誰もいない。
私はどこにいても、独りぼっちだ。
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