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蛙はそのままじっとして動きません。
「蛙さん。いつになったらお月様に触るんだい。」
「もう少しだよ。良く見てて。」
するとさっきまで蛙が泳いでいたせいで揺れていた水が静まり、井戸の水がまるで鏡のようになり、空に浮かぶお月様を綺麗に写しました。
「ほら」
そう言って蛙は水に写った月に触りました。
蜂はそれを見てこう言いました。
「ずるいや。それは本物のお月様じゃないじゃないか。」
「でも、お月様には触っただろう。良かったら、君も触ってみるかい?」
蜂はそう言われると自分も触ってみたくなりました。
「いいのかい?」
「もちろんさ。」
蜂は井戸の底まで降りて行くと、水に写った月にちょんと触れて言いました。
「私もお月様に触れたよ。ありがとう。」
蜂は嬉しそうに蛙の方を向きました。
「どういたしまして。こちらこそありがとう。」
蛙はそう言うとパクリ。蜂を食べてしまいました。
「お月様ありがとう。」
蛙は明るい井戸の中から真っ暗な空に浮かぶ月を見上げて言いました。
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