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えっと、名前をつけていたはずよね。
いつも身につけていたんだから。
封印の剣から、思いつくとしたらこれしかないのよね。
小さく咳払いをし、あたしは握っている剣に名前を読んで見る。
「シャーレンスモー。」
シーンと静まる部屋の中、あたしはどうしたらいいのか考える。
も、もしかしてまちがえた?!
だよね、反応をしなかったんだもの。
なんて名前を呼んでいたのかしら。
剣からも不審がられたりしないのかな、持ち主なはずなのに挙動不審なうえに名前を間違える。
そりゃ近づきなくないわよね。
なんて思っていたら、眩しい光に思わずあたしは目を大きく開いた。
しかし、あまりにも眩しくて掴んでいた剣を、床に置いて少しだけ離れてみる。
それでも、目を開けられない程の眩い光が部屋中放っている。
な、なに?
やっぱり持ち主じゃないから怒っていらっしゃるんですよね。
わかります!!
あたしも、目を覚ましたら知らない世界にいて戸惑っていますから。
って、あたし!!
何、剣に向かって話しかけているの?
知らない人が見たら、壊れたお嬢様にしか見られないと思う。
この、リーフレット姫のイメージが崩れると思う。
すると、眩しく光っていた剣が、だんだんと光を消すようへ変えていく。
い、いったい、何なんなの。
完全に理解が出来ないあたしは、これからどうやって行けばいいか悩んでしまう。
まず、リーフレットお嬢様と呼ばれている、この女の子は、この封印の剣を使いこなしているみたいよね。
なにせ、人間界とこの世界を行き来していた少女。
しばらくは記憶喪失のフリをしながら、生活をしないといけないんだけど。
あたし、ひとりで出来るのかな。
ふと、思い出した、あの男。
ま、心配はしてはいないよね。
ただ、逃げ出したって勘違いをされたら、どうしよう。
そのあとが怖いんですが。
封印の剣を掴んだまま立っていると、部屋のドアがた叩かれた。
誰だろう?
先程の女の子かしら。
「リーフレットお嬢様、申し訳ございません。」
いきなり深く頭を下げて謝る女の子に、あたしは戸惑ってしまう。
「いったい、どうした…………、」
その続きは言えなかった。
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