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「悠樹今日はなんの日でしょう」
「皆大好きバレンタインデー」
「正解。はいこれ」
二月。
バレンタインデーに卯月は俺にチョコを渡してくれた。
「啓介さんには会社から帰ってきたら渡すんだ」
「おう、喜ぶよ父さん」
「それとね、お母さん用も作ったの。お母さんにだけあげないのも可哀相だからね」
えへへ、笑う彼女の顔を見て俺まで嬉しくなった。
「つーかなんで俺だけわざわざ学校で渡すんだ? 家でいいのに」
「雰囲気よ」
「雰囲気?」
「学校で渡す方がそれっぽいでしょ」
「? なにが」
「はあ……授業始まるよ」
呆れた目で見つめた後卯月は先に教室に入っていった。
「……!」
こっそり中身を覗くと、ラッピング袋の中にはハート型のチョコが入っていた。
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