第15話

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第15話

Junction ー 4 今になって、自分で言った「恋人同士がするキス」という、陳腐な言葉に、全身がむず痒く感じてきた。 それでも互いの唇が、軽く触れる・・・重なる。たったそれだけの行為ですら、彼の身体を震わせる。息遣いは荒いが、さっき教えたからだろう、今度はちゃんと息をしている。 (本條さんの心臓の音が凄いんだけど、俺の心臓も凄いんだよな・・・) 軽く開いた口に舌を入れて、彼の舌に絡めると、身体を硬直させた。俺は(何をしても一々反応するの面白いな)と、失礼極まりない事を考えてしまった。 (でも、そういう所も可愛くて好き・・・)そう思いながら、彼の唇から離れて「本條さん、俺の舌の動きに合わせて」と言った。彼は何故か目を閉じていて、そのまま黙って大きく頷いた。 (なんで目閉じてんの?恥ずかしくて照れてるとか?まぁ・・・確かに顔は真っ赤なままだけど) さっきから、そんな失礼な事ばかり考えていたら、彼が不意に「先生、あの・・・先生の顔が見たいです」と言い出したので、つい笑ってしまった。 「え、何か変ですか?」 「いや、本條さんらしいと言うか・・・」 「それは馬鹿にしてますね?」 馬鹿にしているつもりはなかったが、失礼極まりない事ばかり考えていたのは、事実だったので「すみせん」と素直に謝った。 「どうせ経験ないですよ」と、彼がボソッと言うので、俺はすかさず「そういう意味じゃないです」と言った。 「なんですか?」 「別に経験の有無ではなく純粋に、如何にも本條さんらしいなと・・・でもそういう所が可愛いなと思ってですね・・・改めて好きだなって思ったと言いますか・・・」 「俺が可愛いですか?」 「あ、男性に可愛いは褒め言葉ではないですよね。これじゃあ、馬鹿にしているように捉えられても仕方ないですね・・・」 必死になって、上手く伝えようとすればする程、墓穴を掘っている気がしてきた。どうしたら、正確に気持ちが伝わるのかと考えていたら、今度は彼が可笑しそうに話し始めた。 「俺は先生の方が、可愛いと思います。そうやって、頑張って気持ちを伝えようとしてくれる所とか・・・」 「我ながら必死過ぎました。どうもこういうのは不慣れで、どう話したらいいのか解らないんです」 「それは俺も同じです。いや、先生みたいに不慣れというレベルじゃないし・・・本当に、恥ずかしいし情けないです」 「恥ずかしくも、情けなくもないです。前にも言いましたけど、単に今まで経験がなかったというだけで、これから色々な経験して、慣れていけばいいんです」 「なら、先生もそうですよね。慣れてなくても、これから慣れていけばいい事でしょ?」 最初の頃は、こういう真っ直ぐな所が嫌だった。でも今は違う。 彼の場合、態度には態度を、気持ちには気持ちを、言葉には言葉を・・・。一方的に与えられるのではなく、自らも与える事が出来る。 しかもそれを、何に対しても、誰に対しても、分け隔てることなく出来るなんて、簡単そうにみえて難しい事だ。それが出来る人間は、そう多くはいないだろう。 (彼のように出し惜しむ事なく、そこに打算もないなんて・・・ある意味カルチャーショックだな。いや、俺が捻くれ過ぎてんだろうな) 「でも先生、一ついいですか?」 「なんですか?」 「そういう事に慣れるのは、俺だけにして下さいね」 彼はそう言うと俺に抱き着き、俺の耳元で懇願するように静かに言う。 「俺だけ見てて欲しい。そういうのは、俺だけにしか見せないで欲しい」 (あぁ、そうか。セフレとか、そういった連中の事を気にしてんのか・・・そりゃそうか) 「本條さん、俺言いましたよね。こんな気持ち・・・想いを抱いたのは、本條さんが初めてだって。そして、それは俺の本心だって事も。今までの俺を知っているから、にわかにには信じて貰えないかも知れませんけどね」 「先生の事は信じてますよ。だけど先生、モテるでしょ?それが心配というか、不安なんですよ」 「それ、本條さんが言いますか?俺の前だとこんな貴方でも、世間を賑わす人気俳優なんですよ。俺の方が心配で不安になります」 「ちょっと待って。俺だって、先生の前ではカッコよく居たいって思ってます。でも先生優しいからつい甘えちゃうし、好きって思うと暴走しちゃうしで、カッコよくいられないんです。それに俺の場合、俳優やってるから騒がれてるだけです」 確かに俺の前だと、テレビやら何やらで見る彼とはまるで別人のようだと、そう感じていたのは俺だけではなかったようだ。 (なんでそこだけ、自覚ありなのか謎だな。ん?待てよ・・・そう考えると、こういう彼を身近で見られるのは、俺だけの特権なのか) 「先生、何ニヤニヤしてるんですか?」 「あ〜顔に出てました?」 「何か良からぬ事でも考えてたんですか?」 彼が珍しく、眉間に皺を寄せて怪訝な顔をした。俺は思わず(こういう顔もするのか)と、暢気な事を思ってしまった。 「こういう本條さんを見れるの、俺だけの特権なんだな〜と思うと、誰だってニヤけるでしょ」 「それなら、先生のそういう顔が見れるのは、俺だけの特権って事になりますね」 「まぁ、そうなりますね。あっ、そうだ。俺のスマホ何処にあるか知ってますか?」 「鞄の中じゃないですかね。取りましょうか?」 「じゃあ、お願いします」と俺が言うと彼は、ソファの所に置いてあった俺の鞄を取って来てくれた。 「スマホがどうかしたんですか?」 「本條さんの不安を取り除きます」 「え、どういう事ですか?」 「セフレやそういう友人達の連絡先を、全部消しますから見てて下さい」 俺はそう言いながら、スマホのロック画面を解除すると、連絡先を削除またはブロックをし始めた。その様子を、彼は俺の手元を見ているだけで、最後まで画面を見て確認しようとはしなかった。 「よしこれで終わり。どうぞ画面を見て、確認して下さい。殆どが医師仲間と大学時代の友人が数人。それとこの病院の数人しか残ってないです」 「いや、確認する必要はないです。先生が嘘を吐いてるとも思えないし・・・俺はもう、先生の事はちゃんと信用してるので大丈夫です」 「あの、本條さん。信用してくれるのは嬉しいんですけど、これが嘘だったらどうするんですか?」 彼のこの素直さは彼の長所ともいえるし、こういう所も好きだし見習わねばとも思うが、たまに本気で心配になる時がある。 「う~ん・・・でも、俺これだけは自信を持って言えるんですけど、人を見る目は確かだと思ってます」 「なにか根拠でもあるんですか?」 「根拠という程の物じゃないんですけど、なんとなく解るんですよ。前にも話したと思うんですけど、職業柄の所為か、つい相手を観察してしまうというか・・・上手く言えないですけど」 確かにカウンセリングの時に、聴いた覚えがある。俺達のような仕事でいうなら、病気を見定める行為に近いと思って聴いていた気がする。 「相手の目を見て話していると、本当になんとなくですけど、嘘吐いてるな〜とか、これは本心だな〜っていうのが解るんです」 「それが演技でも?」 「演技なら余計に解ります。伊達にこの業界長くないので」 そう言いながら、はにかむように笑う彼は、何処となく寂しそうに見えた。それをみて俺は(なるほどな)と思った。 (抑え付けてきた感情の中には、寂しいって感情も入ってるのかも知れない。俺に対して、我儘を言って甘えるってのは、きっとその反動なのかもな) 「本條さん。さっき俺に言ってくれた言葉・・・気持ちを、俺も本條さんにそっくり返します」 「えっ?」 「何があっても俺が本條さんを守ります。俺が持ってる物全てと、引き換えにしてもいいですす。だから本條さんも、俺の前ではもう何も我慢しないで下さい。無理してカッコつけなくても良いんです。そういう貴方だから、好きになったんです。だから今まで通り、ありのままの貴方をさらけ出して下さい」 俺がそう言うと、彼は驚きと不安をが入り交じったような、何とも言い表しにくい顔をした。そして今度は罰の悪そうな顔をした。 「も〜そんな事言うと、調子に乗っていつまで経っても、先生に甘えて我儘ばっかり言っちゃいますよ?」 「それは大丈夫だと思います。相手が本條さんでも、嫌な事は嫌だと言うし、出来ない事は出来ないと言いますから。俺も、その・・・甘えたり、我儘を言うかもしれないですし・・・」 「言って下さい。我儘でもなんでもいいです。先生がしたい事や、したくない事。欲しい物でもなんでもいいんです。そういうの、少しづつでいいから言って下さい」 「頑張ります。じゃあ、早速ですが・・・今したい事を言ってもいいですか?」 「なんですか?」 「さっきの続きをしませんか?」 「さっき・・・い、いいですよ」 そう言ってまたもや、顔を真っ赤にする彼を微笑ましく思った。それと同時に(大切にしたいな)と、改めて思った。 当直はさほど大変ではない。うちは夜間の救急外来は受け入れていないから、大病院の緊急外来の様な忙しさはない。余程の事がない限り、ナースコールすら鳴らない。 (そういえば灯里は大丈夫なのか?兄貴は今日はゆっくりさせる、としか言わなかったけど・・・何か引っ掛かるんだよな〜) スタッフルームでそんな事を考えていたら、備え付けの内線が鳴った。俺は受話器を取って「はい。どうした?」と言った。 「関谷先生に外線です」 「誰?」と聞きながら時計を見て、看護師の返答を待つまでもなく、相手が誰なのかすぐに解った。 「野崎さんです。どうしますか?」 「出るよ。何番?」 「3番です」 「了解」そう答えて、深呼吸をして電話を外線へと切り替えた。 「お電話替わりました、関谷です」 「お疲れ様です、野崎です。遅くにすみません」 「野崎さんの方こそ、遅くまでご苦労様です」 本條さんが入院している間、野崎さんは主に事務所でデスクワークをしていて、たまに他のマネージャーのサポートをしているのだと聴いていた。 (そういえば、本條さんは野崎さんに連絡してんのかな?)と、俺の方にも連絡があった事や退院の事について、本人に何も話していない事に気付いた。 「元宮先生のご容態はいかがですか?意識は戻られたんですか?」 「今日の夜の回診に行った時にはもう、意識は戻っていました。ただ時間も時間でしたし、意識が戻ったばかりなので、まだ休むように伝えました。明日少し、検査などをする予定です」 「でも、意識が戻られて一安心ですね」 (あれ?待てよ・・・なんで野崎さんが、灯里の意識がなかった事知ってるんだ?俺が話したのは急病で倒れたって事だけだよな) 「これで、青葉くんも心置きなく退院に承諾してくれます」 (あっ、本條さんか。本條さんが話しちゃったか。いや、彼もかなり動揺してたから仕方ないか・・・) 「本條さんから連絡あったんですね」 「今朝メールが来てました。ただ「灯里先生の意識が戻るまでは、先生の事だけしか考えたくないです。なので、それまで返事は待って下さい」という、内容のメールなんですけどね。それで、元宮先生が大変な状況にあるんだと推測しました」 (え、いや本條さん。いくら動揺してたからって、その内容はダメだろう。それは誰が読んでも聴いても、そうとしか受け取れないぞ) 「野崎さん、ちょっとお聞きしてもいいですか?」 「はい、なんでしょう」 「そのメールを読んで、どう思いました?」 「どうって・・・あぁ・・・」と、一瞬間を置いて野崎さんは「青葉くんは本当に、元宮先生の事が大好きなんですよねぇ」と、事もなげに言った。 「えっ、それだけですか?」 「え、他に何かありますか?」 確かに、芸能界にも同性愛者は多いと聴く。まぁ別に、芸能界だけに限った話ではない。他の業界にも一定数の確率で、居ると灯里から聴いてる。 何を隠そう、病院関係者にも同性愛者は皆無ではない。数でこそ多くはないと思うがゼロではない。そう考えると、職種は関係ないという事だ。 (だからってそれでいいのか?それこそ、ゴシップ雑誌が食いつくいいネタだろう?貴方の青葉くんがそのターゲットになるんだぞ?それに巻き込まれる灯里はどうなるんだ?) 「初恋は実らないと言うじゃないですか。そういう経験も、芸の肥やしにはなるかも知れません。でもやっぱり私は、青葉くんには幸せになって欲しいので、実るように願ってます」 「はぁ・・・」 (本條さんもしかして、野崎さんにも常日頃から、灯里の話をしてんのか?) 「それに、元宮先生の話をしている時の青葉くん、とても良い表情をするんですよ」 (あ、それ解る、というか知ってる。じゃなくて・・・) 「あの、事務所的に反対したりしないんですか?普通はどこも、恋愛禁止って聴きます。いや、それ以前に相手は元宮ですよ?同性ですよ?」 「うちの事務所の方針としては、基本的に恋愛はNGなんです。だけど、青葉くんに対しては逆なんです」 「逆・・・ですか?」 「変な虫と言いますか・・・変な連中だったり、青葉くんのネームバリューやイメージを、下手に利用されたりする方がダメージが大きいんです。ですから、本人同士が本気ならOKという方針なんです。その方が青葉くんのイメージダウンも少ないですし、何より本人にダメージがありませんから」 (てっきり今すぐにでも引き離したくて、早く退院させたいのかと思ってたけど違うのか?ってそうじゃなくて・・・) 「いや、でもですね。さっきも言いましたけど、相手は同性ですよ?大丈夫なんですか?」 「今の世の中だからこそ、天下の本條青葉が堂々と同性婚に対しての、イメージをひっくり返すというのもいいと思いませんか?先生方にとっても、そういう所って微妙な問題だと思うんです。青葉くんと元宮先生が交際する事になれば、そのお手伝いが出来きます。そうなればお互いにとって良い事だと思います。まぁ私としては、青葉くんが幸せなら、相手が普通の一般女性でも良いんですけどね」 (天下のって言った~いや、実際そうだけど。ていうか、何気に痛い所突いてくるな) 確かにLGBT関連については、まだまだ課題は山積みだ。そういう患者を受け入れる病院も、依然として少ない。 名前だけは、一般に広く浸透はしているものの、偏見は未だに根強くある。だからって、本條青葉のネームバリューがあれば、何とかなるってレベルの話でもない気がする。 (なのになんで?しかも灯里まで・・・あっ、もしかして・・・あ~なるほど。いや〜この人、単なる本條青葉信者かと思いきや、とんでもない曲者だわ) 先生の唇が柔らかくて気持ちいい。でもまだ舌が入ってくる瞬間の、感覚には慣れない。でもそれ以上にどうしたらいいのか解らず、ただ先生に教わった事を実行するだけだった。 それでもまだ先生のリードがないと、心許ない気がする。心の中で(情けないな・・・)と思いつつも、ほんのり色付き出した先生の顔が可愛いと思った。 (けど、なんか・・・ちょっとエロいな)と、ふわふわした気持ちで先生の顔を見ていた。そんな気持ちでいた所為か、この行為自体の所為かは解らないけど勃ってしまった。 (キスだけで勃つとか、きっとバカにされて笑われるんじゃ・・・気付かれてないよな?)そう思った時、先生の口が離れて「本條さん、あたってますよ」と言われた。 「あっ、す、すいません・・・でも、これはその・・・」 「キスは気持ちいいですか?」 「良く解らないですけど、頭の中がふわふわします」と言ってから、自分でも(他に言い方あるだろう)と、恥ずかしくなった。 「可愛い言い方しますね。その、ふわふわするというのが、気持ちいいって事ですよ」 「色々と恥ずかしい・・・」そう言って、思わず先生から目を背けてしまった。 (恥ずかし過ぎて先生の顔がマトモに見れない)と思っていた次の瞬間、先生が俺の股間を撫で始めた。 「ちょっ、せ、先生。刺激しないで下さい」 「俺が相手でも勃ってくれて嬉しいですよ。でもこのままじゃあ、辛くないですか?」 「そうですけど、でも、あっ、えっ・・・」 先生を止めようとしたが、一足先にスボンごとパンツまで下げられてしまって、びっくりしてしまった。なのに先生は止めようとする所か、更に驚く事に、俺の勃ってしまったソレを咥えて、動かし始めた。 「まっ、先生それは、あの、汚いです・・・から、先生ちょっ・・・あっ・・・離して下さい」 「いひゃれふ」 「ん"っ、あっ・・・」 (何を言われたのか解らないけど、喋らないで欲しかった・・・イっちゃったじゃん・・・) 「あ"ぁ~すいません。先生、今すぐ出して下さい」と、近くにあったティッシュを取って、先生に渡そうとした。 「あ、ティッシュは要らないです。飲みましたから」 「は?飲んだ?俺のを?」 「飲みましたよ。随分と濃い味でした」 「そんな事言われても、味の基準なんか解らないですよ。ていうか、美味しいんですか?」 「正直、美味しくはないですかね。でも、本條さんのだって思ったら、なんの抵抗もなく飲めましたよ」 (美味しくないのに飲んでくれたって事、素直に喜んで良いのか悪いのか、めちゃくちゃ複雑だな) 「それより・・・まだ元気なようですね」と言って、先生は俺のソレを握った。 「いやいや、待って下さい先生。もうこれ以上、先生の手を煩わせるのはちょっと・・・」 「でも、俺はまだイってないです。本條さんだけはズルいです」 (え、何そのちょっと拗ねた感じ・・・可愛い。先生の方がズルい。そんな態度見せられたら、嫌って言えない) 「じゃあ、今度は俺が先生のを・・・」 「それだと本條さんが気持ちよくないでしょ?まだ元気ですし」 「そうですけど、じゃあどうすれば・・・?」 先生も気持ちよくなって、俺も気持ちよくなる方法を、俺は知らないから(情けない)とは思っても、先生に聞く事しか出来ない。 「本條さんのと、俺のを・・・」と言って、先生は自分のソレを出して、俺のソレにくっ付けた。 「こうして一緒に擦り合わせて・・・良かった。俺というか、男のチンコ見ても萎えてないですね」 「いや、先生のだからですよ・・・って動かすんでか」 「だって、動かさないとイけないですよ?」 「じゃあ・・・お、俺も先生の触ってもいいですか?」 俺は、心臓が破裂するんじゃないかってくらい、ドキドキしながら、先生のソレに触った。 「ぅんっ・・・もっと、しっかり握って動かして」 「は、はい」と答えて、握った手に少し力を加えて動かした。すると段々、先生の息遣いが激しくなって、顔の赤味も増した。 「ん、あっ・・・本條さん、俺なんか変・・・」 「えっ?」 「いつもこんなに早くないのに、本條さんが触ってるって思ったら、もうイきそうです」 「そ、それは気持ちいいって事ですか?」 先生は黙って頷いてかと思うと、俺を見て「キスして下さい」と、ねだるように言う。 (なんでさっきから、こうも可愛いんだ。先生こういう時って可愛くなるのかな?いつものクールな先生も好きだけど、可愛い先生も好き。これが俗にいう、萌えとか尊いってこういう事か) 「いいですよ。先生のお願いなら、何でもシてあげます」そう言って、俺は先生の唇に触れた。 「ふっ、うん・・・はぁ・・・本條さんが、触れるとこ全部熱い・・・気持ちイイ・・・」 「はっ・・・先生、俺も気持ちいいです・・・」 先生の目が潤んで、トロンとしている。その顔がまたエロく見えて、俺はふと(もっとシたらどうなるんだろう?)と思った。 (だからって、何をどうしたらいいのか解らないんだけど・・・もっと、気持ちよくなって欲しい) そう思ったら、握った手が勝手に速度を増して、先生の口を食べる勢いで貪った。 「ん"、あっ、早ぃ・・・い"ぃ・・・」 「ゆっくりがいいですか?」 「だって、イ"っちゃ・・・」 「いいですよ。俺ももう・・・」 「あ・・・イクっ・・・」 「っ・・・」 お互いにイってしまって、手の中でソレがビクビクとしている。先生は俺の肩に頭を乗せたまま、息を調えてる感じだった。 (気持ち良かった・・・まだなんか、ふわふわする) 「本條さん、気持ち良かったですか?」 「はい、凄く気持ち良かったです。え〜とこれって、抜きっことか言うやつですよね?」 「あははっ・・・」と言って先生は、声を出して爆笑し始めた。 (あれ?違った?仕事や学校の勉強だけじゃなく、もう少しこういう事も、必要最低限の知識くらいは勉強しておくべきだった・・・) 「そんなに笑わないで下さい。俺こういうの初めてなの、先生知ってるじゃないですか」 「知ってますよ。別に馬鹿にしてる訳ではなく、抜きっこって言葉にツボりました。初めてなのに、そういう言葉は知ってるんだと思ったら余計・・・」 先生はそう言いながらも、まだ可笑しそうにしていた。そんな先生に俺は、思った事を話した。 「でも、誰かにやってもらうのって、自分でやるのとは全然違いますね。先生が最初にやってくれた、俺のその・・・」 「あぁ、フェラですね。気持ち良かったですか?」 「少し恥ずかしかったけど、気持ちよかったです」 「なら良かったです。本條さん、気持ち良いかな?って思ってたんで安心しました」 「それ、兜合わせの時に、俺も似たような事を考えてました。どうしたら先生がもっと気持ち良くなるだろうって」 「次は、最後までシましょうね」と、微笑みながら言う先生に、俺は「それまでに、色々と勉強しておきます」と言った。 「焦らなくていいですよ」と、先生は言ってくれたけど、俺の中で(これ以上、先生に失態を見せない為にも、それなりの知識は得てやる)と、心の中で決心した。
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