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「どうしてくれるんだよ、伯父さん・・・・・・閉じ込められちゃったじゃないか」  頭を抱え、彰は弱音を吐いた。  閉ざされた門扉が、目と鼻の先に構えていた。  自動的に閉められてからおよそ1時間、叩いたりこじ開けようとしたり仕掛けを突破しようと試みたりはしたが、扉は開くこともなく、頑固に壁のままでいる。  「お前の伯父も大概だな。こんな変な仕掛けつけた館に、親戚とその友達呼びやがって」 「ご、ごめん・・・・・・僕も、迂闊だった。あの人は昔から無茶ばかりだったんだし、誘いに乗らなければ」 「別にいいっての」  うつむく彰に、裕介が手をふった。 「お前のせいじゃねえし。そもそも、一定の動作をすると扉が勝手に施錠されるような訳のわからん仕組みを作った伯父さんが悪いんだろ。いくら防犯対策とは言え、やりすぎだ」 「そうだね」  ぶつくさと呟いている友人を尻目に、彰はひっそりとため息をついた。    ***  ──夏休みに、友だちを誘って俺の別荘にでも来ないか。  疎遠だった伯父から、そう言われたのは二ヶ月前のことだった。  法事の関係で親戚一同が集まった席での帰り道、次々と帰路に着く大人たちから隠れるように彼はささやいた。  なんでも、仕事が忙しいせいで山奥に買った別荘にはめったに行けず、持て余していたらしい。  辺鄙(へんぴ)で古いけど、空気はうまいし趣きもある。どうだ、ちょっとダチでも連れてくれば。  そんなふうに言われれば、押しに弱い彰が断れるはずもなく。  かすかな不安をいだきながらも、同じく野鳥観察が趣味の友人を誘い、(くだん)の別荘に赴いた。  そして、扉は閉ざされたのである。
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