12人が本棚に入れています
本棚に追加
熱風で目を覚ました。
上体を起こすと、頭がずきずきと痛む。
首が寝違えたように痛い。
頭を押さえながら、必死で首を回して、周りを見る。
赤い。
赤い。
赤い。
すごく、赤い。
この赤さ、見たことある――――――。
もやがかかったような記憶が途切れ途切れに蘇る。
『やめて!!』
『つぶすな!!いい加減にしろ!!』
『違う、違う、刻み方が違う―――』
『喰え。』
ぶちゅ、ぶちゅ、
す、ざくっ、ぶじゅっ……。
っ……!!
嫌だ嫌だ、思い出したくない。
体中に拒絶反応が駆け巡る。
やだ、やだ、やだ。
赤は、嫌い。
赤は、苦手。
赤は無理。
赤は、死の色だから………。
いつの間にか涙を流していたのだろう。
頬から水滴が落ちる。
ここは、どこだろう。
ここが、地獄だろうか…。
僕は、自分の体を見た。
そして気づいた。
僕は、白い着物を着ている。
これは………。
いわゆる、死に装束というやつだろうか。
履いていたはずの革靴もなくなり、裸足だった。
「あんのクソ閻魔大王が……。」
ふつふつと湧き上がってくる怒り。
なんだ、僕は結局あの玉座の間で不自然な性教育をして、地獄に堕とされたってことかよ!?
ダルい、ダルすぎる。
だけど、正直ここで考えていても何も始まらない。
僕は、無理やり立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!