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人権やプライバシーのことも問題にはなったが、CSを常に監視しているAIが犯罪を防いだり急病人を救ったりする効果によってうやむやになった。
根強い反対運動はあるものの、すぐに状況が変わるとは思えない。
だから、カウントダウンは絶対だ。
「あんたも見た目は悪くないかなあって思ってたんだけどさあ、付き合ってみない?」
肉食系っぽい少女に廊下に呼び出され、告白を受けた少年は、あまり恋愛と縁がなさそうなタイプだった。
告白慣れしていないのかオドオドしていると、少女が腕をつかんで距離を詰めてくる。
少年は彼女なんて持つくらいなら家でゲームをしていたいと思っていたのだが、現実の女子と触れ合うドキドキ感は、考えを変えるに十分なものだった。
「いいでしょ?」
「う、うん」
告白成立にCSが反応し、カップリングされたことが表示される。
続いて始まる、カップリング期間の抽選。
される側から見れば、まさに運を天に任せる抽選だが、実際にはスーパーコンピュータのAIがビッグデータをもとに判断する厳正な管理である。
告白が成立した二人のCSに同じ数字が表示される。
それは、強制破局までの時間を分単位で表示している。
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