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02.夏祭りにうってつけの特別な飲み物
「じゃあ、どこかでジュースでも売ってたらそれを買って飲もう」
僕はそう言って、竜星と飲み物を売る出店を探しはじめた。
しばらくして、竜星がビールやジュースを売る出店を見つけた。ビール、チューハイという文字の並びにラムネの文字も。ラムネの文字に吸い寄せられた僕たちは店先に急ぐ。
店頭に置いた銀色の四角い箱、その箱を満たす氷水に浮かぶラムネの瓶。これこそ夏祭りにうってつけの特別な飲み物じゃないか!
僕たちはさっそく一本ずつラムネを買った。
「なあ勇輝、こんな話知ってるか?」
ラムネを半分ほど飲んだ竜星が、ラムネを飲む僕に切り出した。
「ラムネの瓶にはビー玉が入ってるだろ?」
僕は手にしたラムネ瓶を目の高さに持ち上げる。透明な瓶の中には、透明な炭酸の泡をまとって転がる一個のビー玉。
竜星が得意げに話し始める。
「ラムネ瓶のビー玉って『B玉』、つまり二級品のガラス玉が入ってるんだよ。でも、わずかな確率で『A玉』、これは一級品って意味のガラス玉が入っているんだって」
僕が初めて耳にする話だった。
夏祭りの出店が放つまばゆい照明に照らされたラムネ瓶。炭酸の泡をまとったビー玉が星のように細かな光を輝かせる。
「でも、その『A玉』を見つけると、すごくラッキーなんだって。幸せをもたらす『A玉』だから」
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