02.夏祭りにうってつけの特別な飲み物

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

02.夏祭りにうってつけの特別な飲み物

「じゃあ、どこかでジュースでも売ってたらそれを買って飲もう」  僕はそう言って、竜星と飲み物を売る出店を探しはじめた。  しばらくして、竜星がビールやジュースを売る出店を見つけた。ビール、チューハイという文字の並びにラムネの文字も。ラムネの文字に吸い寄せられた僕たちは店先に急ぐ。  店頭に置いた銀色の四角い箱、その箱を満たす氷水に浮かぶラムネの瓶。これこそ夏祭りにうってつけの特別な飲み物じゃないか!  僕たちはさっそく一本ずつラムネを買った。 「なあ勇輝、こんな話知ってるか?」  ラムネを半分ほど飲んだ竜星が、ラムネを飲む僕に切り出した。 「ラムネの瓶にはビー玉が入ってるだろ?」  僕は手にしたラムネ瓶を目の高さに持ち上げる。透明な瓶の中には、透明な炭酸の泡をまとって転がる一個のビー玉。  竜星が得意げに話し始める。 「ラムネ瓶のビー玉って『B玉』、つまり二級品のガラス玉が入ってるんだよ。でも、わずかな確率で『A玉』、これは一級品って意味のガラス玉が入っているんだって」  僕が初めて耳にする話だった。  夏祭りの出店が放つまばゆい照明に照らされたラムネ瓶。炭酸の泡をまとったビー玉が星のように細かな光を輝かせる。 「でも、その『A玉』を見つけると、すごくラッキーなんだって。幸せをもたらす『A玉』だから」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!