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03.ひと目見ればすぐにわかる
ラムネを飲み終わった竜星は瓶の飲み口を握って、力を込めてそれをまわす。雑巾をしぼるときのような手つきで。
すると、ガラス瓶の口を覆っていたプラスチックのカバーが外れ、瓶の中に詰め込まれていたビー玉が外に転がり出る。
「こりゃ『B玉』だな」
竜星は転がり出たビー玉を夏祭りの輝きに透かしてのぞき込むなりそう言った。
僕もさっそく竜星を真似して、ガラス瓶からビー玉を取り出す。
「これは『A玉』なのかな?」
透明で濡れたビー玉を手に取った僕に、竜星は首を振る。
「それも『B玉』だ、残念」
「わかるの?」
竜星は得意げにうなずいた。
「『A玉』は一級品だからな。透明感も色合いも丸みもみんな『B玉』とはぜんぜん違う。だから、ひと目見ればすぐにわかる。『これだ!』って」
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