第1話 歓迎の悶え

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じっくりと時間をかけるように強く柔らかく、下肢を虐(シイタ)げられるのに合わさって、唇も首筋も胸も休むことなく犯されていく。 「──あぁ…あ…─はぁ……やァッ──」 キモチイイ 足を擦り付けるように、優羽の腰は幸彦の指をもどかしく求め始めていた。そうして反応が変わった優羽をみた幸彦は、嬉しそうに舌舐めずる。 「ハァっ…はぁ…ゆきひ…ッ…──…ぅあッ!!?」 それは突然、体に異変を告げた。 その証拠に大きく見開かれた優羽の目が、これからおとずれる恐怖をうつしている。 やってくるのだ。 かつて味わったことのない快楽の波が……──── 「よく覚えておきなさい」 ……───幸彦の声が、脳に刻まれる。 「イクとは、どういうことかを」 「ッ!!?」 その瞬間、火花が飛び散ったかと思った。 「イヤぁァァァァァッァ──」 自分の意思とは無関係に腰が脈打つ。止めることも、逃げることも出来ない快楽から助けを求めるように、幸彦の名前を呼ぼうとするが、それもできない。 チカチカする。 大きく身体をひねり、快楽から逃げようとする優羽を幸彦は逃がさない。 「イヤだ…はぁ…もう、ヤメテくだっ──…イィ!」 「違うだろう? まだわからないようだね」 「ヒッ!!?」 再び、体が次に訪れる出来事を予想して硬直する。 体をずらした幸彦に疑問を抱いた優羽は、蜜壺にあてがわれたモノに気づいて激しく抵抗の姿勢を見せた。 「イヤッ!イヤですっ!!」 言葉では嫌がっているが、大きく見開かれた優羽の目には、焦燥と期待に潤みをおび、震える声には甘く求める音が滲んでいる。 「嘘はいけない」 少女の抵抗など、百戦錬磨の男の下では無力に等しい。 両手を縛り上げられた優羽に叩かれようが、逃げようとされようが、痛くもかゆくもなかった。 むしろ、それくらい抵抗してくれないと犯しがいがない。 「力を抜きなさい」 定められた位置と掴んだ腰に拒否権はないのに、最後の最後に可憐な抵抗をみせる乙女の秘境に笑みがこぼれる。 「ヤメテくださっ──」 「初めては後にも先にも人生一度きりだ」 よく味わうようにと、最後の抵抗とばかりに暴れ始めた優羽の脚を容易(タヤス)く広げながら、幸彦は腰をその細部に埋め込んだ。 「イヤァァアおと…っさ…ヤメっ…──痛っ!!?…ぃやっ…幸彦さまッ痛いっ!やだ…抜いてくださ…っイヤァ!」 「──くっ。初めてはキツいな」 「イヤ…ゃっ…動かな……──…で」 初めて感じる男の質感と苦しさに息が出来ない。 痛みに体をひねり、逃げようとする腰を押さえつけられながら、優羽の目から涙がこぼれおちた。 「薬を使って正解だった」 自分を犯す義父の言葉に耳を疑う。 腰に感じる違和感がたまらなくもどかしい。もう少女には戻れないのに、大人になんてなりたくないのに、知ってしまった。 これが、男。 「しっかり、仕込んであげるから覚悟しなさい」 「ッ!?」 引き抜かれるときの感覚は、最初に与えられた苦しみとは全く違っていた。 内臓が引きずり出されるかと思うほどの快楽と、もう一度最奥まで突き刺される痛み。 ゆっくりと、ゆっくりと味わうように捕食されていく獲物になっているような感覚。 「────ッ痛」 その言葉通りに断続的に打ち付けてくる腰にあわせて優羽の口からは、痛みを訴える吐息があふれる。 しかし、痛みに眉をしかめていた顔は、徐々に男を誘う潤みをおびはじめ、混ざりあう水音が部屋の中を妖艶に支配していく。 「あっ…っ…アッ……ぃ…ゃ…」 「優羽、嘘はいけない」 「ヒッ!!?」 「ほら、わたしには違った声が聞こえるのだが、優羽にはどうかな?」 「ヒッ!ヤッ…あっ…アッ…く」 パンパンとリズムよく、断続的な音が室内に響き始める。それに合わせて動く腰と一緒に優羽の声は、幸彦の下で踊っていた。 「どうだい?」 「アッ…あっ…わかん…ナッ…」 これはシツケが必要かなと余裕の笑みを浮かべる幸彦の下で、か弱く体を震わせる優羽の声が歓喜に変わっていく。 「気持ちいいなら気持ちいいと言いなさい」 それでも、優羽は首を横にふる。 確かにキモチいい 気持ちいいと叫ぶことができたら、わずかに残る理性を捨てて、獣のように本能で愛し合えたら。それはどれ程の快楽を与えてくれるのだろう。 「まだまだ時間は、たくさんある」 幸彦は、どこか嬉しそうな苦笑の息をこぼす。 優羽の感じていることは手に取るようにわかっていた。繋がり合う先で必死に見せる抵抗も、負けそうになる快楽に戦ってる様も、何もかもが愛しい。 けれど、容赦はしない。 「ここが好きだろう?」 優羽の声が明らかに変わる。 狂声に甘さと艶が混ざり、喉の奥から自然にこぼれる歓喜の息が女の性をむさぼっていく。 「さすが、若いだけあって反応が早いね」 キツく締め付け始めた優羽に、そろそろだと幸彦は悟った。 その証拠に、一度快楽を植えつけられている優羽の全身が、その先にいくことを必死に踏みとどまっている。 まるで自分じゃないみたいに声が自然に口をついて出てくる。 感じたくないのに体が勝手に反応して、悦びの息をあげ、イヤなのにその先を求めてしまう自分に気づく。 恥ずかしくて、怖くて、苦しいのに、気持ちいいと思ってしまう。
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