三度目の正直

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やけに眩しく感じてそっと目を開けた。 しんっと静まり返った寝室の窓から青白い月明かりが差し込んでいる。 端正な顔立ちの疾風(はやて)が降り注ぐ月明かりに照らされ輝いて見えた。 静かな寝息を立てる整った唇にそっと指を添える。 温かい。 「夢じゃなかった」 疾風の顔が一気に歪んだ。 熱いものが込上げ胸が締め付けられる。 私は疾風を起さない様に深くゆっくり息を吐いて、物音一つしない月明かりの中で目を閉じた。
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