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F市に出来た話題の複合図書館。
そのサイレントスペースはおしゃべり禁止。
超控えめな音量で流れるクラシック音楽の他は、ページをめくる音、書きものの音、電子機器の操作音ぐらいしか聞こえない。
テーブルの向かい側には小鳩君が黙々と勉強してる。
今は午前11時ぐらい。
一時間前、ここのエントランスで私を見た小鳩君のあからさまなガッカリ顔。
まさか私が私服化けするとでも期待していたんだろうか。
期待に副えず申し訳ない。
『やっぱり来なきゃよかった』とモヤる。
けど、落ち着いた空間の中、いつの間にか数学の問題を解くのに没頭してた。
と、突然肩を揺らされ、顔を上げると、赤面し怒った様な表情の小鳩君にメモを見せられる。
『周りの迷惑になるから、出よう』
え? 何?
私、何かやらかした?
小鳩君の目には非難の色が滲んでいる。
私が迷惑行為を犯したと言っている。
何を!?
訳が分からず固まる私を置いてサッサと出口に向かう小鳩君。
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