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「ルーシー、お願いだ。どうか、引き受けてくれないか。君が助手になって、あいつの仕事を手伝ったり、仕事をするよう仕向けたりしてほしい。宮廷は、フロランタンが仕事をしなくて困っている。あいつは面倒だからと仕事をしないが、あいつのような強力な魔術師に頼むような仕事は、重大なものなんだ。そんな重大な仕事がされないと、国の役割がきちんと果たせなかったり、人々が事件に巻きこまれたりと、宮廷だけでなく、国中に迷惑がかかる。どうか、フロランタンの助手になってくれないか」
クローブの顔には、国のためにこの状況をどうにかしたいという思いが、にじみ出ていた。そんな顔をされたら、断ることなんかできない。そのうえ、彼女は、人から必死に頼まれたら、たとえ自分がどうしても嫌だと思っても、引き受けてしまうという性格だった。そのこともあり、とうとう彼女はクローブに負け、腹を決めて、助手になることを引き受けることにした。
ルーシーとクローブは、フロランタンのいるテーブルに戻り、それから、彼女はぽつりとつぶやいた。
「わかりました。あなたの助手になります」
それを聞いて、クローブは顔をほころばせ、フロランタンは、当然だ、というふうにうなずいた。ルーシーは、フロランタンの行動がかんに障ったが、なんとかこらえた。
「その代わり、働いた分のお金はきちんとください」
そう付け加えるのを忘れなかった。
これからとんでもないことが起こりそう。
お人好しな自分に、ため息をつくルーシーだった。
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