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物たちを分け終えて、木の床板が見えるようになったら、普通のそうじの始まりだ。家でやるようなそうじなら、家事に慣れているルーシーにはお手の物だ。まず、部屋の奥から発掘してきたはたきで、高いところのほこりを落とした。このとき、ルーシーは口をハンカチでおおっていたにもかかわらず、あまりにほこりの量が多かったのか、せき込んでしまった。
次は床そうじだ。発掘した箒で床をはき、その上をこれまた発掘してきたモップでふきあげる。発掘現場の掃除用具入れは、ほこりをかぶっていたものの、なぜか中はきれいに整とんされていた。床そうじが終わったときには、床の上は見ちがえるようになり、ピカピカに光っていた。
テーブルの上の食器も片づけた。食器を台所に運んでびっくり。台所は、ウィッグス通りの変人が寝ていた部屋よりも、さらにひどい状態だった。流しには、食事の終わったお皿でいっぱいになっていて、その流しも、藻のようなコケのような深緑の物体でおおわれている。かまどにかけてあるお鍋とフライパンには、油と焦げ目がこびりついている。そして、どういうわけかわからないが、壁のところどころには、赤っぽい茶色と黄色っぽい茶色のネトネトやネバネバが貼りついている。
この様子を見て、ルーシーは、うっ、と声をあげずにはいられなかった。今まであの汚い部屋をそうじしていた彼女も、さすがにこの台所に手を付けるのは気が引けたが、彼女は気合を入れなおして、そうじに取りかかった。
最初に、積みあがった食器をどかして、流しのそうじから始めた。台所をきれいにするうえで、必ず水が必要になってくるからだ。深緑の物体は、布でこすってもまったく取れなかった。そこで、使い終わったお皿と一緒になっていたフォークを取り出して、深緑の物体に突き刺しフォークを持ちあげると、物体をめくりあげることができた。このことにより、意外と簡単に、流しのそうじは終わった。
お次は、食器とお鍋とフライパンを石けんの泡でじゃぶじゃぶ洗った。油のこびりついているところは念入りに、焦げ目の付いているところは強くこすった。
最後は、壁のネトネトとネバネバだ。フライパンの焦げ目の付いているところと同じように強くこすったが、これがなかなか取れない。
「何をしたら、こんなことになるのよ!」
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