水着はマストアイテム👙

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水着はマストアイテム👙

「だいたいなんだ。その派手な恰好は?」 「ああァら、やっとお気づき。ご覧なさい。この夏の最新モードよ」  圧倒的な存在感だ。  お蘭は優雅な身のこなしで、ランウェイを歩くモデルみたいにクルッとターンした。辺り一面に香水の香りを振りまいていく。甘美で蠱惑的な匂いに男子生徒たちは夢中だ。 「おおおオォォ……」低いどよめきが起こった。少年たちは心持ち腰を(かが)めていた。 「お蘭さまァァァァァ……」  男子生徒らは食い入るようにお蘭の水着姿を見つめ歓声を上げた。まるで親衛隊のようだ。 「ふぅン……」女子生徒らはお蘭の事を無視しスマホに夢中だ。特に美少女の萌は対抗心からか、お蘭を目の敵にしているようだ。 「いやいや、最新モードか何か知らないけど。それが小学生の着るような水着ですか。だいたいなんで教室で水着を着ているんだ?」 「フフゥン、覚えておきなさい。セクシー忍者にとって水着は必要不可欠な必須(マスト)アイテムなのよ」  見せつけるように豊かな胸を張って自慢した。男子生徒らの視線は釘づけだ。 「ぬウゥ、なにィ、ふざけるな」  ああ言えばこう言う。なんて口達者な忍者なのだろう。 「さァ、(ジイ)や、もうわかったでしょう」 「なんにも(わか)らないよ。ボクは(ジイ)やじゃないし。今は授業中なんだ。こんな派手なビーチパラソルは片付けて、ちゃんと授業を受けてくれよ」 「何度も言わさないで。日焼け止めクリームを塗りなさい」 「うッうゥ……」  まったくボクの話しなど聞く気がないようだ。 「お蘭ちゃん。ボクが塗ってあげるよ」 「いや、ボクが塗るよ」  しかし男子生徒らはすでにトリコだ。お蘭の忠実な親衛隊と化していた。 「あのねえェ。大人しくみんな席に着いて。今は社会科の時間だろう」 「ああァら、どこまでおめでたいの。セクシー忍者にとって日焼けは大敵なのよ。ウルトラマンにおけるバルタン星人に匹敵するくらいのライバル関係なのじゃ」 「いやいや、ライバル関係なのはわかるけど。だったら露出の激しい水着を着るのを()めたら良いだろう」 「うつけ者め。セクシー忍者は脱いで、なのじゃァ」 「はァ、脱いでって、浅草ロック座のストリッパーか。どこの踊り子さんだよ。どこから金をもらってるんだよ」 「フフゥン、(ジイ)やには解らないことよ」 「だからボクは爺やじゃないって言ってるじゃないか!」  どんなに声を張り上げて叱りつけても効果がない。  それにこれ以上、時間をロスするワケにはいかないだろう。  
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