いい箱作ろう鎌倉幕府

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いい箱作ろう鎌倉幕府

 それに、これ以上時間をロスにするワケにはいかないだろう。  気を取り直して授業を再開することにした。教壇へ上がって咳払いをひとつした。 「ゴッホン、ええェッと、じゃァ昨日のおさらいね。鎌倉幕府が始まったのは、いつかな?」  ボクが質問するとみんな元気よく手を上げた。 「ハァーイ、ハァーイ!」勢いよく挙手した。 「よろしい。ではみんなで一緒に、おさらいしましょう」 「ハイ、『いい箱作ろう鎌倉幕府』。1185年です」  教室じゅうの生徒たちが全員でハモった。 「そうですね。みんな正解です。鎌倉幕府の成立は1185年です」  さっそくボクは黒板に『鎌倉幕府成立』を『1185年』と書いた。  だが、いきなりお蘭は立ち上がりビックリしたように叫んだ。 「えッえええェーーー……? 爺や。ちょっとお待ちなさい!」  手を上げると豊かな胸の膨らみがプルルンと揺れた。  一斉に、教室じゅうの男子の視線がお蘭の胸元に集まった。みんなお蘭のオッパイに夢中だ。 「な、なんだよ。お蘭……?」  今にもオッパイが水着からこぼれ落ちそうだ。思わずボクも見惚れてしまった。 「黙って聞いていれば、爺や。ふざけないで」  お蘭は立ち上がってボクを睨んだ。 「いやいや、黙って聞いていないでしょ。それからボクは(ジイ)やじゃないから。空牙(クウガ)小次郎ですよ」 「聞き捨てならないわ。これ以上、爺やに好き勝手な事を言わせないから」 「好き勝手って……、別にボクは」  なんのことだろう。 「フフゥン、純真無垢な少年少女にウソを教えてはいけないわ」  (さげす)んだ眼差しでボクを見つめた。 「う、ウソなんて教えてないよ」
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