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鎌倉幕府
「う、ウソなんて教えてないよ」
「いいえ、だいそれたウソよ。たった今、小次郎はなんと、おっしゃったかしら?」
お蘭はボクを睨んだ。
「えェッ、今……。ボクがなにか変なことを言ったのか?」
思い当たるフシがない。
「そうよ。鎌倉幕府の前に聞き捨てならない事を言ったでしょ」
「ン、鎌倉……、『いい箱作ろう鎌倉幕府』の事か?」
普通のことだ。咎められるようなことではない。
「お黙り。そんなまやかしの歴史で、伊賀のセクシー忍者お蘭を愚弄するつもりね」
「いや別に愚弄なんてしないよ」
「さては、小次郎。お主、やはり甲賀忍者の回し者だったのじゃな」
「いやいや、ボクは空牙だよ。甲賀じゃないって」
「お黙り。純真無垢な少年少女にウソを教えてはいけないわ」
「ウソじゃないって。『いい箱作ろう鎌倉幕府』だろう」
「まだ言うつもりなのね。許さなくてよ」
「いやいや、許すも許さないも……」
「よろしくて。パンツの中に手を突っ込んでよくお聞きなさい」
「いやいや、どこに手を突っ込ませる気だよ。それを言うなら耳の穴をかっぽじってだろう」
「鎌倉幕府は、『いい国作ろう鎌倉幕府』。つまり1192年なのよ。そんな事は昔っから決まっているのじゃ。ウソを申すではない」
「いや、その年号は、ずいぶん前の年号の覚え方だよ。二十年近く前から『1185年』になったんだよ」
「なんですってェ……?」
「フフゥン、そうよ。そんな事も知らなかったの」
美少女の萌がバカにするように嘲笑った。
「今は、『いい箱作ろう鎌倉幕府』なんだぜ。お蘭ちゃん!」
男子生徒のタケシも自慢げに言った。
「笑止。あり得ないわ。だいたいなによ。『いい箱』って?」
「いや、それは単に語呂が良いから」
ボクも困惑して苦笑いをした。
「ぬウゥ、いったい誰の陰謀なの?」
「いやいやァ、別に陰謀とか、そういうものじゃないよ」
「わかったわ。きっとこれは密かに甲賀忍者の画策した国家的な陰謀なのね」
「そんなワケありませんよ。どんな国家的な陰謀ですか?」
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