どさくさに紛れて世界征服を

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どさくさに紛れて世界征服を

「いやいや、何がお見通しなんですか」  無茶クチャなことを言う女の子だ。 「甲賀忍者は歴史を改ざんし、紛れて世界征服を企んでいるのじゃろう?」 「えッえええェ……、世界征服?」  クラスじゅうが驚きの声を上げた。 「そんなワケないだろう。どんなだよ。戦後の混乱期か」 「解っているのよ。甲賀忍者と文化省は多くの民に気づかれないように歴史を捻じ曲げ、ゆくゆくは世界を征服する気なのね」 「なんだよ。世界を征服って。どこの悪の秘密結社だよ。ショッカーなのか?」 「良いこと。騙されてはいけないわ。伊賀のセクシー忍者は甲賀忍者の作った(いつわ)りの歴史など認めはしないのじゃ」  「いやいや、(いつわ)りの歴史って」 「よろしくて。『いい国作ろう鎌倉幕府』。1192年こそが、鎌倉幕府の正式な年号なのよ。解ったわね。皆の衆」  お蘭はみんなを見回した。 「えェ……、マジかよ」 「皆の衆って何なの……?」   クラスじゅうが目を点にしていた。 「あのですね。それじゃァテストではバツですから。『いい箱』ですよ。1185年に鎌倉幕府が制定されたんです。みんなお蘭の言う事に(まど)わされないでください」  ボクは急いで訂正した。 「はァ……」生徒らは戸惑いを隠せない。 「フフゥン、笑わさないで」だがお蘭は鼻で笑った。 「えェ……?」 「テストの点数ですべてを押し(はか)ろうとする文化省の悪企(ワルだく)みなど、この正義のセクシー忍者が許すはずはないのじゃ」 「いやいや、許すとか、許さないじゃないから。別に文化省は歴史を捻じ曲げようなんてしてないですから」
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