13人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
やっとのことで、開けた場所へと辿り着いた。
前方には、宮殿ともいうべき巨大なものが広がっている。そろそろと近づき触ってみれば、その外壁は意外にさらさらとして心地良かった。
警戒して周りの気配を探ってみたが、幸い敵の姿は感じられない。これは、お宝をどっさり手に入れられそうだ。たくさんの土産を持って帰ったら、ケイもアイもどんなに喜ぶことだろう。
ほくほくと想像を膨らませている間に。
「うわぁ。中は、もっとすごいよ」
一足先に内側へと身を押し込んだ相棒は、興奮気味に跳ねていた。
おそらく、その時だったのだ。
内壁が物凄い勢いで剥がれだしたのは。
「ぎゃあっ」という彼の悲鳴。
「おぉ、どうしたっ?!」
呼びかけたが、それきり反応はなかった。
嫌な予感がした。
崩れかけた内壁は泥状に怒涛の如く押し寄せて、忽ちの内に彼を完全に呑み込んでしまっていたのだ。
「おぉ!」
恐怖よりも、仲間の安否が気になった。
「今すぐ、助けるからなっ!!」
気が付けば私は、夢中で飛びこんでいた――
最初のコメントを投稿しよう!