人魚姫は天然物

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「ふん、大した用もないのに馴れ馴れしく訪ねてくるからだよ!」 「昨日海岸でね、すっごいイケメンを見つけちゃったのよ!」 「あんた、もう15だろ? そろそろ潮の流れと会話の流れくらい読めるようにならなくちゃあ、立派な人魚にゃなれないよ?」 「ここからが本題なのよ。そのイケメンったらなんと! 人間の王子様だったのよ!」 「人間だって?」 「そうなの。だからこの尾びれを人間の足にしてもらいたいの!」 「馬鹿だね、そんな簡単に人間になんかなれるわけがないだろう?」 「だって人魚のままじゃ、王子様に会いにも行けないじゃない?」 「いいかい? よくお聞きき。そりゃアタシの力を持ってすれば、尾びれを足にかえることは出来る。でもその足は歩くたびにナイフを踏むように痛むよ。それと、もしお前が王子と結婚できなかったらお前は二度と人魚には戻れない。いや、それどころか心臓が破れて、お前は海の泡になっちまうんだ。それでもいいんだね?」
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