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「そんなのいや」
「いやっておまえ……そんなら足は諦めな」
「それもいや」
「全くこれだから甘ったれの末っ子は! しょうがない、歩くたびに痛いのは無しにしてやるから……」
「それならいいわ。あとは私が王子様と結婚すれば問題ないもんね!」
「よしよし。ああ、それから願いをかなえるほうびにお前の声をもらうよ。お前の声は、海の世界で一番美しいと評判だからね」
「それはいや」
「だから! さっきからちょいちょいわがまま挟んでくるんじゃないよ!」
「嫌なものは嫌、ぜーったい、い・や!」
「だったら足は諦めるんだね!」
「いや。何があっても諦めないもん! 変えてくれるまでここで喚き続けるもん!」
「冗談じゃないよ、そんなことされたらうるさくて敵わない!」
「冗談じゃないもん♡」
「ああっ、もう勘弁しておくれ!!」
こうしていつものように押し切られ、魔女はマリンの尾びれを足に変えるはめになった。
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